全世界の女子たちのあこがれを一身に集めるスーパードール、バービー。

現実世界にいたらさぞかしセレブな生活なんでしょうね、なんて想像、女の子ならいちどはしたことがあるでしょう。自分がバービーではないことを恨めしく思う気持ちがいつしか消える、そのときまでが少女の時期ってやつなのでしょうね。

今回紹介するのは、カナダ人写真家ディナ・ゴールドスタインさんによる「バービーとケンの結婚後」をテーマにした写真シリーズ「In The Dollhouse」です。

ちなみに登場人物はいちおうバービーとケンでなく、「B」と「K」。まあ大人の事情ということで、お手数ですが以下は各自でお好きに読み替えてくださいね。

作品で描かれているのは、BとKの新婚生活です。レッドやピンクで統一したキュートな調度品の数々に囲まれた豊かな生活、パートナーのKは超ハンサムで超マッチョ。かわいいもの+見目麗しい男性に憧れる女子の希望をすべてかなえた、夢のくらし……

だったはずなのですが。Kには、あるとんでもないものが欠けていたのです。それはなんと……

男性としての心! 

なんと、KはいわゆるMtoF、外面は男子だけれどハートは女子そのものという人だったのでした。いちどはBの熱烈なアタックを受け入れて、偽りの結婚を引き受けたけれど。いざ一緒に暮らしはじめたら、やっぱり無理だった……

Bと同じように、Kもかわいいものが大好き。Bには悪いけど、女子になんか興味ないの。

今日もハッピーにバスタイムのK。それに対しヤサグレ中のB。一発トイレしてやるわ。


ワイルドな男性にお姫様抱っこされる夢を見るB、そしてK。

Bがお仕事から帰ってきたら……おいおい人のベッドで何やってんだよ。

そして真実の愛に目覚めて出ていったK、Bはディナーをひとりで……いただけるかこんなん。

このあと、もうちょっとひどい展開が待っています。続きが気になる方は公式サイト(http://inthedollhouse.net/)を訪れてみましょう。

ドールっぽく仕立てたキャラの衣装&メイクにドールハウスを完璧に作り上げたセット……ひとつひとつ、恐ろしいまでに作りこんだうえで撮影された一連の写真は、お見事というほかありません。

ここまで美しく整えておいて、ウツ展開にもっていくのかい! とツッコミたくもなりますが、これはゴールドスタイン女史の芸風ということで。この人は以前にも、ディズニーのお姫様たちの悲惨なその後をテーマにした「Fallen Princesses(地に堕ちたプリンセスたち)」という作品を発表していたりします。

それにしても。ハンサムでマッチョで、そのうえ部屋全体をピンクにしても文句を言わない男……そりゃあ、そういう人はたいていオネエだなあ、なんて気もしますね。

自分の夢や希望ばかりを追い求めていると、いかにスーパードールといえどパートナー選びに失敗するんだよ、という教訓を学べたように思います。

(文=纐纈タルコ)

写真:http://inthedollhouse.net/
(c)2012 DINA GOLDSTEIN / IN THE DOLLHOUSE