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ようかんで有名な老舗の和菓子屋さん『虎屋』。その本店がある東京赤坂・虎屋ビルの『虎屋ギャラリー』で、年に1~2回ほど、和菓子の展示会が行われているのをご存知ですか?

「源氏物語と和菓子」「栗づくし展」「江戸おもしろお菓子展」など、毎回違ったコンセプトで開催されるこの展示会は、虎屋の菓子資料室『虎屋文庫』のスタッフが担当しています。昭和48年に第1回の展示を始めてから40年以上続いていて、今回でなんと78回目

必ず手作りの和菓子を展示するのがポリシーのとっても面白い展示会、しかも無料というすばらしい企画! なのに、大々的に宣伝をしていないので、知る人ぞ知る……なイベントなんです。この虎屋の展示会、ビルの建て替えに伴って、今回の展示を最後に3年間お休みすることになりました。

そこで、休館前の特別企画として、過去の展示77回分を振り返る回顧展『虎屋文庫のお菓子な展示77』を6月16日(火)まで開催中。和菓子好きの記者、遠路はるばる名古屋から行ってまいりましたよ!

■ 虎屋文庫って?

虎屋には、江戸時代から伝わるお菓子の絵図帳や古文書があります。その保存や整理のほか、様々なお菓子の資料や情報を収集、発信しているのが虎屋文庫です。『和菓子』という機関誌(年刊)も発行している、和菓子界の知の集合体なんですよ!

■ 古今東西の本物のお菓子!

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毎回、和菓子職人さんが作った和菓子を展示するのが虎屋ギャラリーの特色。本物なので、種類によっては毎日交換が必要です。今回も、過去の展示の歴史を追いながらの和菓子がずらり。

昔のお菓子を再現する、といっても、誰も見たこともなければレシピもない。虎屋文庫のスタッフさんに「想像力と資料だけでなんとかして!」とお願いされる和菓子職人さんたちは、かなり困惑されるのだそう。それでも、さすがプロ。知識と技術でお菓子を完成させてしまうのです。

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お菓子は見るだけで触れませんが、大きなお祝い用のお餅の模型は、持ち上げてその重さを体験できちゃいます。

■ 和菓子にまつわるあれこれ

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お菓子用の、繊細に彫られた木型の展示もあります。木型だけでひとつの芸術品のよう。他にもタケノコやクワイなどの野菜型から、鯉などの動物型までたくさんの木型があって、その一部を会場内のVTRでご紹介。ため息がでるほど美しくって、3分間のスライドショーを繰り返して3回も見てしまいました。ああ、もう1回見たいなあ。

ギャラリーのあるフロアでは菓子作りの技術や歴史など、過去に展示されていたDVDも日替わりで見られます。NHKのドキュメンタリーのような見ごたえのある内容ですが、非売品なので、ここでしか! 今しか! 見られないんですよ。

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期間中は、過去の展示をまとめた小冊子のうち、在庫があるものは無料でもらえます。気前がいい! わたしも「甘い対決・和菓子の東西展」と「源氏物語と和菓子展」の2冊をいただきました。

展示会にまつわるクスッと笑えるこぼれ話をまじえながら振り返る全77回の歴史は、想像以上のクオリティ。スタッフの皆様もとても親切で、もちろん和菓子が大好き。和菓子好きに悪い人はいません。

行灯をイメージした黒い外装が印象的な虎屋ビルは、前回の東京オリンピックのときに建てられたのだそう。建て替えにともなって、虎屋本店も3年間お休みです。ちょっと寂しいですね。

第1回の展示からずっとお越しになっているという熱烈なファンもいる虎屋ギャラリー。その休館前の最後の展示『虎屋文庫のお菓子な展示77』は、6/16まで。残りあとわずかですが、ぜひ寄ってみてください! そして虎屋さん、3年後も期待していますよ!

休館前の特別企画「虎屋文庫のお菓子な展示77」
日時:2015年5月20日(水)~6月16日(火) 10:00~17:30
入場無料・会期中無休
場所:虎屋ギャラリー(虎屋ビル2階)

参照元:菓子資料室 虎屋文庫
執筆=綾部綾 (c)Pouch