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ハイヒールは女性を美しく、凛と見せてくれるファッションアイテムなので、記者(私)は大好き! 

けれども、5センチ以上のヒールを長時間履いたときの苦痛は筆舌に尽くしがたいものがあります。そのため「好き」という気持ちよりも、圧倒的に疲労感のほうが勝つことは、否めない事実なのです。

「女性は必ず、勤務中にハイヒールを着用すること」という職場のルールに異を唱えたのが、イギリスに住む27歳女性、ニコラ・シアン・ソープ(Nicola Sian Thorp)さん。彼女が起こした訴えが、現在、世界中で話題となっています。

【ハイヒールを履いていないことで、強制帰宅】

イギリス BBC News が伝えるところによると、彼女は昨年12月、臨時職員を務めている会社からハイヒールを着用していないことを理由に、強制的に帰宅させられたとのこと。しかもその際、日給は発生しなかった、とも。

【「これは性差別ではないか」】

ソープさんが勤務していた世界的なコンサルティング会社「プライスウォーターハウスクーパース(以下、PwC)」側の「女性は5センチから10センチのヒール靴を履くこと」という要求を、ソープさんは「女性だけにハイヒールを着用することを強制するという、性差別である」と拒否。帰宅後すぐに、服装規定改定に関するオンライン嘆願書を準備、署名を集め始めたんですって。

ソープさんは「私は、企業が女性従業員にそれを強制すべきではないと思います。」と訴えているようです。

【イギリス政府が対応するのも時間の問題】

またアメリカメディア ABC News の報道によれば、集まった署名の数は79,000以上。これが100,000に達すれば、イギリス政府は公式回答を迫られることになり、嘆願書は、議会において検討されることになるようです。

【真剣な訴えを笑った会社】

なお BBC によれば、ソープさんが、ハイヒールを履いて9時間フルで働くことの困難さと、男性の同僚は履いていないことについて訴えたところ、一笑に付されたとのこと。

また、彼女は自身のフェイスブックでも「今は2015年ですよ? おかしいでしょう」と、怒りをあらわにしています。

これに対し、ネットユーザーも続々コメント。「そうだそうだ!」「50年代から女性の職場環境は変わっていない」「ありえないね」「会社にドレスコードがあるの?」「おかしいよ」といった具合に、ソープさんに賛同する意見が数多く見受けられていたようです。

【1度、長時間ハイヒールを履いてごらんなさいよ】

かつて、当サイトの記事「女装してわかった15のこと」でもお伝えしておりますが、よほど足にあったものでない限り、基本的にハイヒールはとっても歩きにくい靴

男性のみなさん、試しにつま先立ちで9時間、ずーっと働いてみてください。つまり、ハイヒールを着用し続けることは、仕事中に長時間、身体に負荷をかけ続けるということなのです。ハイヒールを履くことで、つま先が狭いところへ押し込まれ、足の指やサイドの部分もすべてギュッと押さえつけられるわけですから。

そして、これが立ち仕事となれば、苦痛はさらに倍増します。痛みで頭も、よく回らなくなるしね。

【1人の女性の訴えがイギリス社会を変えるかも】

複数の有名海外メディアが取り上げたことによって、一気に世界へと広まったソープさんの訴え。

これを受け、ソープさんの雇用主であるアウトソーシング会社の Portico 社は、「ソープさんは、服装規定内容にはじめから同意している」とコメント。一方で PwC 側は「会社に服装規定はない」と発表しておりますが、はたして今後、どうなるでしょうか。

これを機に少しでも、世界中の女性たちが気持よく働くことができるようになればいい。イギリスが今回の「ハイヒール問題」にどう対応するのか、非常に気になるところです。

参照元:Facebook / Nicola Sian ThorpBBC NewsABC News
執筆=田端あんじ / 画像=Pouch (c)Pouch