何度も映画化されていて、いちばん有名な王妃といえば、やっぱりフランスのマリー・アントワネット。ソフィア・コッポラ監督作『マリー・アントワネット』では、ドレスやマカロンの美しい色使いや、BGMにパンクロックを使うなど、斬新な演出が話題を呼びました。

そんなマリー・アントワネットの生涯をたどる展覧会「ヴェルサイユ宮殿 ≪監修≫ マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実」が、現在、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで行われています。

日本でも大人気の王妃、マリー・アントワネットのすべてがつまった展覧会に行ってきましたよ〜。

この展覧会では、マリーが幼少を過ごしたオーストリア時代からフランス革命によって死刑になるまで、彼女の人生を追うように、第1章から第12章までの章立てで構成されています。では、ひとつずつ紹介していきますね。

【14歳で嫁いだ幼い花嫁マリー・アントワネット】

第1章:オーストリア時代のマリー・アントワネット

マリーの母はマリー・テレジアといい、マリー・アントワネットは16人兄弟の15番目です。マリーの母は、子供が生まれるたびに肖像画を宮廷画家に描かせて祝ったそう。

ここにはまだゆりかごの中の赤ちゃん時代、少女時代のマリーの肖像画があり、華やかな大家族の姿が見られます。

第2章:フランス王太子との結婚

1770年、マリーは14歳でフランスのルイ15世の孫、ルイ・オーギュスト(のちのルイ16世)に嫁ぎます。ここには、結婚祝いのセレモニーの美術や絵が飾られています。

ハプスブルグ帝国とフランスの絆を堅くするための政略結婚ですが、本人はまだ14歳。何が何だかわからなかったでしょうね~。
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第3章:即位-マリー・アントワネット誕生

1774年、ルイ16世の即位により、マリーはフランス王妃になりました。ルイ16世は20歳、マリーは19歳です。白い肌、青い瞳、ブロンドの髪のマリーの美を人々は賞賛! 肖像画を見ても、その美しさはわかります。

しかし当時のマリーはパーティ三昧な毎日だった様子。まだ19歳、遊びたい年頃ですからね。自由奔放な王妃の浪費は、この頃すでに始まっていたようです。

第4章:マリー・アントワネットと子供たち

ルイ16世とマリーには子供が3人いましたが、末娘は数カ月で帰らぬ子になったそう。マリーも彼女の母同様に、子供たちの肖像画を多く残しています。浪費家の一面はありつつも、子供にとっては良き母だった。子供たちの肖像画がそれを語っています。

【フランスの元祖ファッショニスタ!】

第5章:ファッションの女王としてのマリー・アントワネット

マリーはファッションにお金を注ぎ込み、実家の母にまで怒られるほどだったそうですが、彼女のファッションは常に貴族たちの話題の的。ここでは、帽子やドレスなど華やかな衣装のヴィジュアルをじっくり見ることができます。

第6章:王妃に従えた家具、調度品たち

マリーは衣裳だけでなく、インテリアにもこだわりがあり、こちらでも流行の最先端! 特に花と真珠のモチーフがお気に入り。タペストリーや燭台もあれば、なんと日本製の漆器類も収集していたそうです!

【展覧会の注目ポイント! 王妃の部屋の再現】

第7章:再建された王妃のプチ・アパルトマン

ここでは王妃が実際に使用していた家具や、同時代の浴槽などを使用して、プライベートルームを再現! 居室、浴室、図書室の3つの部屋で構成されています。ついにお部屋まるごと登場ですよ。

マリー・アントワネットというとピンクなイメージでしたが、淡いペパーミントグリーンを基調にしたお部屋は爽やかで上品です。ベッドもゴージャス!
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図書室は、3Dプロジェクションマッピングでパリ国立文書館に保管されている設計図をもとに再現。めくるめく窓からの眺めも、素敵~!

第8章:マリー・アントワネットのセーヴル磁気の食器セット

インテリアに凝っていたマリーが、漆の器を好んでいたのは驚きでしたが、なんと伊万里焼をイメージした和食器も購入していたそう。展示されている食器はいずれも美しくて、あまり古さも感じないのが凄いです。

【映画化もされた首飾り事件のネックレス!】

第9章:王妃の私的な離宮:トリアノン

ルイ16世から贈られたプチ・トリアノンは、マリーだけの世界。ヴェルサイユ宮殿の庭園にある離宮のひとつ、プチ・トリアノンは、宮廷の陰謀や中傷から逃れる彼女のオアシスだったのです。

9章ではプチ・トリアノンの地図や美術品、子供たちとの肖像画なども見られます。

第10章:首飾り事件

マリー・アントワネットが購入を拒否したにもかかわらず、ある人物がマリーの関係者とウソをついて、首飾りをだまし取ったスキャンダル「首飾り事件」。この詐欺事件は、ヒラリー・スワンク主演で『マリー・アントワネットの首飾り』として映画化されました。マリーには、とんだとばっちりだったのですが、王妃としてのイメージを失墜させた事件です。ここには、問題の首飾りの複製が展示されています。

第11章~12章:革命の動乱の中の王妃~牢獄から死刑台へ。

フランス革命がテーマの部屋では、バスティーユ占領の絵画や風刺画、逃亡のルート、バスティーユ監獄のミニチュア、そしてマリーが義理の妹と刺繍をしたじゅうたんが展示されています。じゅうたんは、マリー晩年の2年間に制作されたものだそうで、あまりに大きくてビックリ! こ、これ本当に作ったの? という驚きが。

ここにはマリー・アントワネットの愛人と言われたスウェーデンのフェルゼン伯爵との往復書簡もあり「やっぱり二人は……?」と、女子的妄想が膨らみます。また監獄に幽閉されていたときに着用していた肌着やヘアバンド、靴の展示も。死刑台に向かうマリーの肖像画もあり、悲しい最後なだけに、胸が苦しくなります。
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【マリー・アントワネットづくしのショップ】

マリー・アントワネットの人生の旅路を歩んだあとは、お土産ショップで数々のマリー・アントワネットグッズを購入できます。

ショップで一番目を引くのは、やはりパリの老舗パティスリー・メゾン「ラデュレ」の会場限定マカロンボックス。そのほか、様々な商品がズラリ。

女子力が高いアイテムの数々でショップまるごと欲しくなる~! また六本木ヒルズ内のレストランでも、この展覧会とコラボしたメニューを展開中です。

【本物ならではの力がすごい】

この展覧会を一周すると、マリー・アントワネットとすごく近くなったような気がします。さすがヴェルサイユ宮殿が監修しているだけありました。肖像画や調度品など、本物の力ってすごい!

お洒落な人だとは聞いていたけど、ファッションだけでなくインテリアも美意識を貫いたマリー・アントワネット。今の時代に生きていれば、完全にファッション界のトップに君臨していたでしょう。

貧困にあえぎ、パンも食べられない国民に放ったという「パンがダメならケーキを食べればいいのに」発言が有名ですが、14歳で嫁いで、社会常識など学ばないままに籠の中の鳥のような形で大人になった人だったからなあ……と、ちょっと同情したりして。

この展覧会は、女子同士で行くことをオススメします。マリー・アントワネットの人生を感じてみて。

今回訪問した展覧会

■ ヴェルサイユ宮殿≪監修≫ マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実
開催場所:森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ 森タワー52階)
開催期間:2016年10月25日(火)〜2017年2月26日(日)
休館日:会期中無休
時間:午前 10時 〜午後8時(火曜日および10月27日(木)は午後5時まで)※入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込):一般1800円 高校・大学生1200円 小・中学生600円
公式サイトhttp://www.ntv.co.jp/marie/
※11月4日~11月17日まで、ソフィア・コッポラ監督作『マリー・アントワネット』の特別上映もあります。
(TOHOシネマズ六本木ヒルズにて:一般 1100円)

※掲載している情報やデータはすべて取材時(2016年10月)のものです
※掲載している写真はすべて同館の許可を得て撮影しています

取材・撮影・執筆=斎藤香 (c)Pouch

王立セーヴル磁器製作所 皿「日本」
(C)Château de Versailles / (C)Christophe Fouin
王妃の首飾り(複製)
(C)Château de Versailles (Dist. RMN-GP) / (C)Jean-Marc Manaï
マリー・アントワネットの「サン=チュベルティ風の」短靴
(C) Musée des Beaux-Arts de Caen, cliché Martine Seyve
アントワネットのシュミーズ(肌着)
(C) Fr. Cochennec et C. Rabourdin/Musée Carnavalet/Roger-Viollet

▼ヴェルサイユ宮殿の居室を再現

▼浴室も再現されています

▼展示内容は盛りだくさんですぞ!


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▼お土産コーナーも充実しているよ!