東京・日本科学未来館で2017年4月8日から開催中の「ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》」。

このアート展、450点以上の日本初上陸の原画などのアート作品が展示されている大規模なもの。初期のミッキーの誕生、『蒸気船ウィリー』から最新作『モアナと伝説の海』まで、ディズニー・アニメの約90年分の歴史がつまっています。

ディズニーファンはもちろん、創作にたずさわる人にもオススメです。世界最高の技術者たちのアート魂が集結していて、必ず刺激を受けるはずですよ〜っ。

【1. 動き出すいのち ~躍動するキャラクター~】

さて、アート展はディズニー・アニメの初期の世界から始まります。

鉛筆で描かれたミッキーやミニーにワクワクしつつ、回転する円筒をスリットから除くと絵が動いて見える「ゾートロープ」など、アニメーションの最初の1歩が展示されています。

コンセプトアートなのに、今にも動き出しそうな躍動感あふれるイラストには、ただただスゴイ!と驚嘆です。ミッキーとミニーがいっぱい描かれたキャラクター・モデルシートなど、そのままポスターとして飾れそうな完成度なんですよ。

サイレント映画からトーキー映画に変わる時代にミッキーマウスは誕生し、映画が最盛期へ向かっていく時代に大躍進するディズニー・アニメーション。

ミッキーの主演作『蒸気船ウィリー』はアニメ界初のトーキー映画で、ウォルト・ディズニー本人がミッキーの声を担当しているんですよ。

【2. 魔法のはじまり ~あくなき研究と開発の日々~】

さらにアニメーションのクオリティを高めるため、ディズニーはキャラクターに合わせて声、音楽、効果音を作り上げるサウンドを進化させ、音楽に合せてアニメーションさせる試みを短編映画で始めます。

そして1937年に公開したのが、初めての長編アニメーション『白雪姫』。そう、第1号のディズニープリンセスの誕生です。

アート展の『白雪姫』コーナーでは、イジワルな継母が「鏡よ、鏡~」と言い出しそうな存在感を見せています。あ〜、怖い……。

実際に目の当たりにしてハッとしたのは、1940年に発表された『ピノキオ』の原画が本当に素晴らしいということ。

例えば、ピノキオとゼペット爺さんがお部屋で向き合っている原画はとってもドラマチックで、見ているだけで物語が脳裏に浮かび上がってくるほどなんです。

このコーナーでは他にも『ダンボ』や『バンビ』など、初期のディズニーのキャラクターがにぎやかに彩っていますよ。

【3. 作品世界の広がり ~魔法の使い手たち~】

ここからは1950年代に突入。『101匹わんちゃん』や、人気の高い『ふしぎの国のアリス』『眠れる森の美女』が登場します。

『ふしぎの国のアリス』コーナーへ続く通路は曲がりくねっているように錯覚させる作りで、まさにふしぎの国への入り口という感じ。

アリスのコンセプトアートを手掛けたのはメアリー・ブレアという女性スタッフで、カラー・スタイリストとして大いに活躍したそうです。アリスの世界観がお洒落なのは、彼女のセンスのたまものですね。

制作に6年かかったという『眠れる森の美女』の展示も見逃せません。中世ヨーロッパやゴシック建築をイメージして作られた背景があって、部屋に飾ってずっと眺めていたいほどのクオリティなんです。

マレフィセントがドラゴンに変身するシーンのコンセプトアートも、すっごい迫力! 見応えありますよ〜っ。

【4. 新たな次元へ ~デジタルがもたらした革新~】

ディズニー・アニメーションは、『リトル・マーメイド』からデジタル革新を推進させていきます。

アンデルセンの悲劇的な原作「人魚姫」のヒロインを、現代的なプリンセスに変身させた作品『リトル・マーメイド』。何気にセクシーなアリエルが描かれた、コンセプトアートも展示されています。

また音楽も、ディズニー・アニメーションに欠かせません。『リトル・マーメイド』『美女と野獣』の楽曲の数々を生み出した、音楽家のハワード・アシュマンとアラン・メンケンのプチコーナーもあります。

ディズニー・アニメーションの得意分野といえば、煌びやかなプリンセスワールドだけでなく、『ライオンキング』『ムーラン』『ポカホンタス』など、野生の動物や東洋の世界。

原画もやはり、力強い筆致と炎のような迫力がありましたよ〜っ。

【5. いのちの新時代 ~多様な社会や地球の未来に向けて】

ピクサーからフル3DCGのアニメーション『トイ・ストーリー』が発表され、アニメーションの新時代がやってきた1995年。

ディズニーは、『トイ・ストーリー』を生み出したジョン・ラセターとタッグを組んで、寓話の世界だけでなく、現代と社会をテーマにした作品も発表していくようになります。今のディズニー・アニメーションの世界観につながる作品は、ココから始まります。

まずは、従来の流れを組んだ作品『塔の上のラプンツェル』から。

長いラプンツェルの髪を活かしたカラーのコンセプトアートは圧巻です! 凄く美しくてかっこいいんです。

『アナと雪の女王』が登場するのも、このコーナーです。

アナが雪に埋もれるシーンなどの技術のメイキングもあり、興味津々に引き込まれてしまいました。

他にも『ベイマックス』、『ズートピア』『モアナと伝説の海』のコンセプトアートやカラー・スクリプトなども見逃せませんっ。



特に『モアナと伝説の海』のコンセプトアートが、海の美しさと波の迫力が感じられて素晴らしいの一言です。映画で見たときも感動したけど、絵だけでも立体感があり色鮮やか。さすがディズニー!

【ミュージアムショップも楽しい〜!】

展覧会の楽しみのひとつ、ミュージアムショップには限定アイテムがズラリ揃っています♪

展示会場で「素敵だな~」と思った作品が、マグネットになっていたり、メモ帳になっていたり、ファイルになっていたり……うーん、全部ほしい! お宝グッズがいっぱいあるので、お財布のヒモゆるゆる注意報ですよ〜っ。

【いつの時代もハイレベルで色あせない】

今回のアート展で改めて感じたのが、初期の作品がまったく色あせていないということ。

ウォルト・ディズニーが、その時代の最先端技術を導入しつつ、物語、絵、音楽など全てを大切に、ひとつひとつに目を配って作り上げてきたからこそ今があるのだなあ、としみじみ感じました。

また、そのクオリティを支えるクリエイターの創作魂も刺激的です。メイキングビデオで、ひとつのアニメーションのシーンがどういう工程で作られるのか収められています。これもぜひ見てみてくださいね〜。

【今回訪問した展覧会】

ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》東京展
会期:2017年4月8日(土)〜9月24日(日)
会場:日本科学未来館 企画展示ゾーン(東京・お台場)
* 東京開催のあと、大阪、新潟、仙台にも巡回するとのこと

撮影・執筆=斎藤 香 (c)Pouch
(c)Disney Enterprises, inc.

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