【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは『プーと大人になった僕』(2018年9月14日公開)。先日Pouch記者が挑戦した「ABCクッキングスタジオ『プーと大人になった僕』公開記念の体験コース」!など、プーさんもりあがっていますよ〜。そして、いよいよ実写版が公開です!

日本ではミッキーマウスと同じくらい絶大な人気を誇るプーさん。「どんだけ可愛いんだろう」とワクワクしながら、ワタクシ、一足お先に試写で見させていただきました。では、物語から。

【物語】

クリストファー・ロビン少年が、くまのプーさんと100エーカーの森の仲間たちとお別れしてから長い年月が過ぎ、大人になったクリストファー(ユアン・マクレガー)は、結婚し、家族とロンドンで暮らしていました。しかし、仕事が忙し過ぎて、家族との仲はギクシャク……。

そんなクリストファーの前に、大親友くまのプーさんが突然現れたのです。驚くクリフトファーにプーは「100エーカーの森の仲間たちとはぐれたんだ。一緒に探してくれる?」と、お願いするのですが……。

【実写のプーさんが可愛い過ぎる!】

結論から言うと、とってもいい映画でした! 実写化されたプーさんと100エーカーの森の仲間たちはとにかく可愛く、プーさん好きが感涙するようなヴィジュアルとシーンが満載。魔法にかけられたような、夢を見ているような気持ちになりました。

クリストファーがプーを抱いてロンドンの街をウロウロしたり、プーが彼の家ではちみつをこぼして大惨事になったり、100エーカーの森の仲間が大騒動を起こしたり……。ピョンピョンはねるティガー、ノロノロのイーヨー、すべてイメージ通りというか、超えていました。すごい! このヴィジュアルだけでも大人はみんな童心に戻れます。100エーカーの森に行きたくなりますから、ホント!

【純粋なプーさんの言葉が悩めるクリストファーを救う】

プーさんの魅力はヴィジュアルだけではありません。仕事人間になってしまいストレス溜めまくりのクリストファーの心を、プーさんは数々の言葉でほぐしていくのです。クリストファーが「もう僕は子供じゃない」と言うと、プーは「クリストファー・ロビンはクリストファー・ロビンだよ」と返し、「仕事が大事だ」というと「それは僕の赤い風船よりも大事?」と返すのです。「赤い風船」は「宝物」。そしてクリストファー・ロビンにとって、宝物は仕事ではなく家族だと気付くのですね。

【大人の心を癒す「何もしないこと」】

プーさんが大切にしている「何もしないこと」は、大人になるとできなくなることでもあります。でも「何かをしていること」に疲れたら「何もしないこと」をしてもいいんです。

「やらねばならぬ」という縛りをなくすことが大事なんだなあと、プーさんから学びました。クリストファー・ロビンもプーと100エーカーの森の仲間探しをするうちに少年時代を取り戻し、そして、妻や娘との時間も大事にしようと動き出します。プーさんはまるで哲学者か悟りを開いた仙人のようですが、プーさん自身は純粋無垢。思ったことをそのまま言葉にしているだけ。狙っていないからこそ、ハっとさせられるのかもしれません。

【エンタメ映画としての要素もバッチリ】

プーさんとクリストファー・ロビンの心の交流だけでなく、本作の後半はなかなかスリリングなエンタメ要素も盛りだくさんです。家族の大切さを知ったクリストファーですが、家族を養うために会社に行かなくちゃいけないときがやってきます。でも大きな忘れ物をしてしまったクリストファー。

それを届けるためにプーさんやピグレットやティガーたちが参戦。ロンドンの街で珍騒動を繰り広げるのです。これもまた可愛いくて可笑しくて、ドキドキさせてくれますよ!

ディズニー好きはもちろん、女子同士で見てもデートで見てもOKだし、仕事に疲れたパートナーをお誘いするのもいいですね。『プーと大人になった僕』を見た後、東京ディズニーランドへ行き「プーさんのハニーハント」に乗ったり、「プーさんツアー」を計画するのもいいかも! 「プーさんDAY」きっと楽しいと思いますよ。

プーと大人になった僕
(2018年9月14日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:マーク・フォースター
出演:ユアン・マクレガー、ヘイリー・アトウェル、ブロンテ・カーマイケル、マーク・ゲイティスほか
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