2019年3月14日、ポプラ社のツイッターで、絵本作家・画家の上野紀子さんが2月28日に亡くなったことが公表されました。

上野紀子さんといえば、幼いころに読んだ「ねずみくんの絵本」シリーズや『ちいちゃんのかげおくり』などが今も心に残っているという皆さんも多いことでしょう。

この訃報を受けて、ツイッター上には悲しみや感謝の声が数多く寄せられています。

【今も国語の教科書に登場する『ちいちゃんのかげおくり』】

上野紀子さんが絵を担当した『ちいちゃんのかげおくり』ですが、わたしは最近ふたたび目にする機会がありました。それは小学校3年生の子どもの国語の教科書に出てきたから。


第2次世界大戦を通じて戦争の悲惨さを描く本作ですが、印象的なのがちいちゃんが空を見上げ、空には家族4人の影法師が空に映っているという場面。上野さんの描く絵で、物語がよりいっそう鮮明に浮かび上がってくるように感じられました。

『ちいちゃんのかげおくり』は戦争を知らない今の子どもたちにとっても、考えさせられるところが多くあったよう。この本の初版は1982年と今から40年近く前になりますが、ぜひ今後も多くの子どもたちに読み継がれていってほしいものです。

そして、子どものころ以来に読んだ私ですが、今は親の立場で物語を受け止め、娘の音読を聴きながら泣きそうに。大人になって読むと、また違った感じ方があるかもしれません。

【多くの子どもたちから愛される「ねずみくんの絵本」シリーズ】

いっぽうの「ねずみくんの絵本」シリーズはユーモアいっぱいの絵本。こちらも絵を上野さんが担当しています。


中でもシリーズ第1作目となる『ねずみくんのチョッキ』は次々と登場する動物たちの表情に笑い、そして最後のねずみくんの哀愁ただよう姿にホロリ。

初版は1974年というこれまたロングセラーなのですが、よい絵本は時代を超えて子どもたちから愛されるという見本のような作品といえるかも。

【訃報には悲しみや感謝の声が】

ポプラ社のツイッターには

「子供の頃、母に読んでもらっていたこの絵本はまだ残っていて今では我が子に受け継がれている。黄ばんでボロボロだけど昔も今も変わらない心温まるとてもいい絵本をありがとう。」
「こないだ産まれた息子に、旦那が初めて選んだ絵本は自分が子どもの頃に一番好きだった『ねずみくんのチョッキ』でした。」
「小学校のときお話の悲しさに暗い気持ちになりながらもかげおくりして遊んだな。ねずみくん大好きでのスタンプを愛用してるけど同じ作家さんだったんだ。ご冥福をお祈りいたします。」
「ちいちゃんのかげおくり、初めて読んだ小学生当時は衝撃を受けました。ニュースを目にして再度読み返し、やはり涙が止まりませんでした。」
「小学校の頃、空に影送りしてたな〜」

などの声が寄せられています。

上野さんご本人は亡くなりましたが、作品は今後も多くの人々の心に生き続けていくはず。皆さんも、ふたたび上野さんの作品を読み返してみてはいかがでしょうか?

参照元:Twitter @poplarsha
書籍画像=版元ドットコム
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch

▼ポプラ社からの発表。悲しみと感謝の声が数多く寄せられています