【最新公開シネマ批評】

映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年7月23日公開)です。同名人気ドラマ、初の劇場版『コンフィデンスマンJP ロマンス編』に引き続き、スクリーンにダー子、リチャード、ボクちゃんが帰ってきました!

今回はマレーシアの大富豪の財産を狙います! 前作に引き続き、人気キャラのジェシーを演じた三浦春馬さんの訃報はとても悲しい出来事ですが、本作でも三浦さんは天才恋愛詐欺師のジェシーとしてキラッキラに輝いていますから、その姿もぜひ観てほしいです! では物語から。

【物語】

大富豪フウ一族の当主レイモンド・フウ(北大路欣也)が亡くなり、その莫大な財産を相続しようとブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)が火花を散らしていました。その3人が今回のオサカナちゃん(詐欺のターゲット)です。

財産を狙うダー子(長澤まさみ)は、フウの愛人の娘が現在行方不明である情報を入手。悪徳詐欺師の女(濱田マリ)に育てられていたみなしごのコックリ(関水渚)を愛人の娘役に仕立て上げ、強欲な3人の子供を差し置いて財産を相続させようとするのですが……。

【ダー子たちに騙される楽しい時間】

連続ドラマのときから『コンフィデンスマンJP』を楽しんでいたファンとしては、劇場版第2弾ができるなんて本当に喜び! ドラマのときから、このシリーズは、ダー子が仕掛ける罠に視聴者も思いきり騙されるというのが魅力です。

本作のキモは、ダー子が仕掛けた“偽物の娘”がどこまで通用するかということ。本当の愛人や娘が出てきたらすべてが水の泡ですし、ブリジットたちは「アイツ、金目当ての偽物なんじゃない?」と疑ってますからね。

また抜擢されたコックリは不器用そうな女の子で、いつもビクビクオドオドしており「どこかで失敗するんじゃないか」とヒヤヒヤさせられるんですよ。

【長澤まさみのコメディエンヌぶりが最高】

Pouchでも紹介した映画『MOTHER マザー』で、とんでもない毒母を演じきった長澤まさみさんですが、本作は明るい詐欺師のダー子を振り切った芝居で見せています。ダー子は詐欺チームのボスですが、一番子供っぽくてワガママ。だけど策士で狙った獲物は必ずゲットする凄腕というのが彼女の魅力。

ボクちゃんはボディガード、リチャードは領事に変身という、このシリーズのお約束のなりすましもピタっとハマっていて、このチームプレイが最高!

【超豪華ゲスト俳優陣が登場。柴田恭兵さんがシブイです!】

フウ家に入り込んで、偽の娘で遺産を手に入れようとするダー子たちを取り囲むゲスト俳優も豪華。

本作から登場するのは柴田恭兵(フウ家の執事)ほか、ビビアン・スー、古川雄大、白濱亜嵐、北大路欣也など。そして『ロマンス編』から引き続き出演しているのは、詐欺師スタア(竹内結子)、ジェシー(三浦春馬)、ヤクザの赤星(江口洋介)など。

特にフウ家の執事演じる柴田恭兵さんは、すべてお見通しのような鋭さと同時に包容力も感じさせ、作品全体を引き締め、レベルを引き上げている印象がありました。さすがです!

【コンフィデンスマンのジェシーは永遠】

そして前作で初登場して以来、人気キャラとなった三浦春馬さん演じるジェシーは、どんな女性も絶対に落とす、唯一無二のイケメン詐欺師。色気と存在感が凄いのに、自己評価が高すぎて抜けてることに気づかないところなど愛嬌もあっていいんですよ~。

もう会えないのは悲しいけれど、できれば今後もダー子が「ジェシー、どこで何やっているんだか!」「またどっかで女を引っかけているんでしょ」なんていって、セリフの中でだけでも『コンフィデンスマンJP』の中に存在してほしいです。ジェシーForever!

マレーシアロケはクアラルンプールとランカウイ島、高級リゾートや5つ星ホテルも登場し、なかなか旅行に行けない状況である今、リッチな気持ちにさせてくれるのも良いです。また前作同様、最後の種明かしで映画全体に仕掛けられた罠がスルスルと紐解かれていく瞬間が気持ちいい!

まだまだ安心できない毎日ですが、映画『コンフィデンスマンJP』の最新作でつかの間、ハッピーな気持ちになってください。

執筆:斎藤 香(c)Pouch

コンフィデンスマンJP プリンセス編
(2020年7月23日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:田中亮
脚本:古沢良太
出演:長澤まさみ 東出昌大 小手伸也 / 小日向文世
織田梨沙 関水渚 瀧川英次 前田敦子
ビビアン・スー 白濱亜嵐 古川雄大 滝藤賢一
濱田岳 濱田マリ デヴィ・スカルノ 石黒賢 生瀬勝久
柴田恭兵 北大路欣也
竹内結子 三浦春馬 広末涼子 江口洋介
(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会