2021年3月26日にTBS系で15分拡大で放送された『俺の家の話』最終話。

最終話は「すごい」としか言えない、もう今年のNo.1ドラマといっても過言ではない、記憶と心に残る名作。

壮大な伏線回収と、寿一(長瀬智也さん)&じゅじゅ(西田敏行さん)の会話に泣き、ティッシュの消費量がとんでもないことになってしまいました。

このような作品を書き上げた宮藤官九郎さんと、世界観を作り上げたキャスト&スタッフのみなさん、すごすぎて震えます……!

※以下ネタバレあり

【最終話あらすじ】

いつもどおりにぎやかな観山家。

大みそかとお正月を経て、寿一が初めて『隅田川』を舞う新春能楽会の日がやってきますが……

「寿一が来ない、探してこい」と訴えるじゅじゅに、なんとも言えない表情を浮かべている観山家一同。

それもそのはず、寿一はすでにこの世にはいないから。大みそかに行われたプロレスの試合で命を落としていたんです。

けれどじゅじゅには、寿一の姿が見えていました。認知症のせいなのか、それとも……!?

【壮大な伏線回収に鳥肌】

最終話の見どころのひとつは「壮大な伏線回収」。

寿一は生前、じゅじゅのためにお葬式の段取りを考え、ビデオメッセージを撮影し、戒名までもらっていたのですが……

これらはすべて、じゅじゅではなく「寿一のお葬式」に使われており、まさかの「伏線」だったことに震えます。

また、寿一が舞うはずだった能の演目『隅田川』も伏線のひとつ。

死んだ息子が幽霊となり、親の前に姿を現す場面は、最終話の「寿一」と「じゅじゅ」そのものです。

考えてみれば、第1話から続いていた寿一の「1人語りナレーション」も、「亡くなった寿一がこれまでを振り返っていた」と仮定すると納得。

また荒川良々さん演じるケアマネ・末広が、第7話で言った名台詞「見逃してない? 伏線回収して!」も、ある意味「伏線」だったのかもしれません。

【寿一とじゅじゅのシーンに涙が止まらない…】

これだけにとどまらず、寿一とじゅじゅが交わしてきた会話も、実はすべて最終回につながっていました

寿一が幽霊になって姿を見せる場面は、かつての「死んだとしても、会いたいから出てくる!」という宣言どおり。

そんな寿一にじゅじゅが言う、

「会いたくて出てきちゃったのか……」
「お前(寿一)を褒めなかったのは、褒めたら終わっちゃうから」

というセリフは、ことさら胸に響くもので、いま思い出しては涙ぐんでしまいます。

極めつけはラストのナレーション「これが俺のいない、俺の家の話だ」。

ドラマを通して寿一と観山家を見つめ続けてきたイチ視聴者としては、「俺のいない、俺の家の話」という言葉が刺さりすぎて、めちゃくちゃに泣いてしまいました……(涙)

【ネットでは「長瀬智也へのはなむけ」だと話題に】

ちなみに、寿一が死を迎えるという結末に関しては当初から決まっていたそうで、プロデューサーの磯山晶さんはドラマ公式サイトのインタビューで

企画当初から寿一のモノローグ『これは俺のいない俺の家の話だ』は決めていたのですが、どうやってそれを描くか、は決めていませんでした。でもその後、長瀬くんが事務所を辞めることが決まった時に、宮藤さんと『結末を変えようか?』と話し合い、長瀬くんにも相談しました。でも彼は『え?なんで?変えなくていいんじゃない?』と言うので(笑)、初志貫徹しようということになりました。だから辞めるから、死ぬことにしたのではないんです

と語っています。いっぽうで

「やっぱり長瀬くんが事務所を退所する前の最後の作品ということで、とても責任を感じていました。彼を愛する方々に『こんなので終わりかよ!』とは絶対に言われたくなかったので、現時点での長瀬くんにとって最高傑作のドラマにしたいという心構えを持って取り組みました。本当はこれが最高傑作!っていうと、もう長瀬くんを見れない気がするので、言いたくないです

とも語っており、最終話に出てきた、死んでもなお「会いたくて」「能とプロレスがやりたくて」出てきてしまう寿一のシーンは、表舞台を去る長瀬さんへの

また出たくなったら、そういうマインドで気軽に戻ってきてほしい

というメッセージにもとれます。

またプロレスのマスクをリングにおいて姿を消す場面は、山口百恵さんが引退するとき「ステージにマイクを置いた」演出を彷彿とさせるもの

そのためネットには

「このドラマは長瀬智也への “はなむけ” だったのでは?」

といった声が多数あがっています。

長瀬智也×宮藤官九郎ドラマの集大成ともいうべき今作。いつの日か、再びこのタッグが見れるといいなぁ……。

参照元:TBSテレビTwitter @oreie2021Twitter検索 #俺の家の話
執筆:田端あんじ (c)Pouch