【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、久々のハリウッドスリラー映画『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2021年6月18日公開)。この映画も新型コロナウィルス感染拡大のため、公開が延期されていた作品。アメリカに続いて日本でもやっと公開しました!

本作は2018年に公開された映画『クワイエット・プレイス』の続編です。「音を立てたら即死!」という世界を生き抜きぬいたアボット一家でしたが、音に反応して人間に襲い掛かる「何か」はまだこの世界に存在していたよう。

続編もハラハラしましたが、意外にも感動もあるスリラー映画となっていました。では物語から。

【物語】

エヴリン(エミリー・ブラント)一家が息子の野球大会を観戦しているときに落ちてきた隕石。

そこから派生したと思われる「何か」が突如現れ、町は大パニック! このときから「何か」は世界を支配。隠れていても音を立てると姿を現し、命を狙ってくるのです。

数年後、エヴリンは生まれたばかりの赤ん坊と長男マーカス(ノア・ジュプ)、耳の不自由な長女リーガン(ミリセント・シモンズ)とともに廃墟化した自宅を離れて、避難できる場所を求めて外へ。

しかし「何か」の襲撃にあい、工場に逃げ込みますが、そこにはかつて家族ぐるみで仲がよかったエメット(キリアン・マーフィ)がいたのです。

【まず前作のおさらい】

音に反応して人間を襲う「何か」に支配された世界で、息をひそめて生きるアボット一家。

そんな中、妊婦のエヴリンは、なんと自宅出産に臨みます。エヴリンの夫リー(ジョン・クラシンスキー)は命がけで家族を守ろうとするのですが……。

実は第1作目で夫のリーは命を落としてしまいます。続編はリーのいない家族の物語なのです。

【恐怖のベースは一緒だけど演出はレベルアップ!】

第1作目がヒットしたために作られた続編は、見る方のハードルも上がるので、難しいと言われています。

しかし、本作はその見せ方がとてもうまかった!

まず冒頭で、人間を襲う「何か」が現れた日を回想シーンとして描き、のちに工場で再会するエメットを登場させます。その後、赤ちゃんを抱えて逃げるエヴリンと子供たちの続編エピソードがスタート!

何しろ赤ちゃんは、ところかまわずギャーと泣きます。前作よりも「何か」に襲われるシーンが多いので、ハラハラの連続!

【次々現れる「何か」からひたすら逃げまくる!】

このままでは全員殺される!と思った長女リーガンは、ある出来事をきっかけに、自分は工場を出て助けを求めに行きたいと訴えます。

そして、リーガンは船で島に渡ろうとするのです。もちろん、彼女は耳が不自由なため、数々の危険が!

そして工場にも「何か」はもぐりこみ、残った3人を追いかけます! つまり「何か」はたくさんいるので、銃で殺しても、炎で焼いても次々と現れるんですよ、もうエンドレス!

【子供たちの成長に大感動!】

正直、やっつけても次々現れるので、この映画に一件落着はないのではないか、いったいどこに着地するのかと思いきや、亡き父の意思を継いだ娘と息子が頑張った!

子供なりに知恵を絞り、大人の協力を得て、運命に立ち向かっていく。エヴリン母さんは、そんな子供たちの姿を見て大感動。守らなければと思っていた我が子に守られる日が来たのですから。観ているこちらも、子供たちの成長についつい涙腺がゆるんじゃって……。

「何か」の正体や家族がどうなったかは映画を観ていただきたいのですが、前作と同じアイデアを駆使しながらも、スリラー映画として進化させた続編には拍手を送りたい! 

最初から最後まで、観客も緊張感の中で息をひそめて鑑賞するというハラハラMAXのスリラー! 

前作を観ていなくても楽しめますが、アマゾンプライムビデオで前作『クワイエット・プレイス』を視聴できるので、お時間ありましたら、前作を鑑賞してから観に行くとより楽しめますよ。

執筆:斎藤 香 (c)Pouch

クワイエット・プレイス 破られた沈黙
(2021年6月18日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督・脚本・製作・出演:ジョン・クラシンスキー
出演:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ、キリアン・マーフィ、ジャイモン・フンスー
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