2021年夏の注目映画は、フランス映画界の巨匠フランソワ・オゾン監督の待望の最新作『Summer of 85』!

少年たちの瑞々しくも刹那的な恋を描いたラブストーリーで、世界の名だたる映画祭で高い評価を獲得するとともに、SNS上でも公開を待ち望む声が続々と集まっています。

このたびYouTubeにて「85秒のダンスシーン」が初公開。オゾン監督いわく、このシーンこそが「映画のコア」だというんです……!

【わずか6週間で幕を閉じた「初恋」を描く】

2021年8月20日から公開される映画『Summer of 85』。

物語の舞台は、1985年夏、フランス・ノルマンディーの海辺。

1人でセーリングを楽しもうとヨットで沖に出た16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴルさん)は、突然の嵐に見舞われて転覆。

そこへ通りかかったのが18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザンさん)で、運命の出会いを果たした2人は、友情を超えた恋愛感情で結ばれることとなります。

アレックスにとっては、これが初恋

どんどん恋にのめりこんでいく中で、2人は「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てるのですが、出会いから6週間後、なんとダヴィドが交通事故で命を落としてしまうのです。

【美しくも儚いダンスシーンは必見です】

今回YouTubeで公開されたのは、互いに惹かれ合うアレックスとダヴィドが、クラブで踊り明かすシーン。

気ままに踊るダヴィドを見つめながら、体全体で喜びを爆発させるアレックスがキュートで、しばし見入ってしまいます。

そんなアレックスに、ダヴィドは後ろからそっとヘッドフォンを装着。

すると場内の喧騒が一瞬で聞こえなくなり、ロッド・スチュワートによる名曲『Sailing』だけが優しく響くのです。

オゾン監督いわく、このダンスシーンこそが「映画のコア」であり、

「2人は同じ音楽を聴いているのに、一緒に踊るわけでもない。ダヴィドは身体をくねらせながらへらへら笑っていて、かたやアレックスは天井のミラーボールをぼんやり見ている。撮影しているときはそこまで考えられていなかったが、あとでこのシーンを思い返してみると、早い段階で2人の離別を予告していたんだと、改めて解釈できた」

と語っています。

オゾン監督のコメントを読んでから、改めて映像を観ると、目を閉じて音楽を聴くアレックスの姿と『Sailing』の歌詞が重なり、そのなんともいえない切なさが、胸を締め付けます……。

【35年の時を経てようやく映画化!】

初めての恋と永遠の別れを描いた本作の原案は、エイダン・チェンバーズの小説『Dance on my Grave(おれの墓で踊れ)』(徳間書店)。

オゾン監督が17歳の時に出会い深く感銘を受けた作品で、

いつか長編映画を監督する日が来たら、第1作目はこの小説だと思った

と語るほど、思い入れが強いようなんです。

初恋の痛みがまざまざと蘇る、少年たちの破裂しそうな恋の衝動を、スクリーンを通して感じてみてはいかがでしょうか。

◆『Summer of 85』
8月20日(金)から
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか
全国順次公開
【配給】フラッグ、クロックワークス

参照元:YouTube映画『Summer of 85』公式サイト、プレスリリース
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES

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