「サウナコラム」にまつわる記事

【連載】第4回 秘密基地【くもりのち雨 時々サウナ】

「え、そういう曲、聴くんですね」
言葉のうしろに、「(笑)」が透けて見えたような気がした。

帰り際、エレベーターホールでのことだった。
遭遇した同僚に、何聴いてるんですか、と無邪気にたずねられ、正直に答えるべきではなかったと少しだけ後悔した。
そうなんですよ、ちょっと古いですよねえ、と自虐するように笑う。

みぞおちのあたりが、きゅっと絞められるような感覚が苦しい。

→ 続きを読む

【連載】第3回 ふたりのサウナ【くもりのち雨 時々サウナ】

「飲みにいこうよ」のお誘いがいつもよりうれしくて、その日が楽しみだったのには理由がある。

用意するのはお財布、携帯、に加えて、いつものお風呂セット。目的地は、食事もできるスーパー銭湯だ。

→ 続きを読む

【連載】第2回 はじまりはサウナから【くもりのち雨 時々サウナ】

暦の上ではもうすっかり秋だというのに、夏のような寝苦しさで目が覚めてしまった。東向きの寝室の窓には朝日がよく入る。

冷え込んだ夜のうちに出した羽毛布団は無意識に蹴飛ばされて、ベッドの下でむなしく丸まっていた。

→ 続きを読む

【連載】第1回 ゼロになる場所【くもりのち雨 時々サウナ】

「おつかれさまです」を何度見送っただろう。今日も最後のひとりになってしまった。終わらない仕事をカバンに詰め込んで、消灯したオフィスをあとにする。

→ 続きを読む

【連載】第0回 そうだ、サウナいこう【くもりのち雨 時々サウナ】

「サウナ、いいっすよ」

そう語る、ひげ面で派手なTシャツのその上司が苦手だった。好きな服を着て、明るく充実した毎日を送り、趣味を語る姿がいつもまぶしかった。私みたいな凡人を、つまらない人間だと笑っているに違いない。

自分の無難な服装も、家に帰って寝るだけの毎日も、嫌いじゃなかった。ただ少し、慣れただけ。

→ 続きを読む