漫画家さんの作画アシストをするのが漫画家さんのアシスタントの主な仕事。アシスタントさん自身も漫画家を目指しているので、作業を手伝いながら自分の技術も磨いてゆく。数年前には、プロアシ(アシスタントと本業にした人)のブログ本が出るなど、今では認知されたお仕事だが、アシ先の先生に怒鳴られながら、徹夜作業。そんな過酷なイメージを持つ人も多いのでは?
今回、少年漫画家のアシスタントを約10年経験した男性に話を聞いた。彼の経験したリアルなアシスタント生活を紹介します。
「アシスタントは、漫画の持ち込みをしたのがきっかけで、なりました。それが10代の時。僕に目を付けてくれた、編集さんがアシに行ってみないかと、声をかけてくれました。今まで4、5人の先生にお世話になりましたが、一番長いところでは5年くらいお世話になりましたね。僕は背景全般を担当していました。」
そう話す男性は、続けてアシスタントの勤務体系も教えてくれた。「僕が長くいたアシ先では、アシスタントは4人。基本この4人と先生とで作業していました。そこは、朝9時から夜8時までと時間が決まっていて、徹夜をすることはありません。休憩時間もありますし、週に1、2日は休みもあります。もちろん、締切前は寝ずの修羅場っていうアシ先もあるみたいです。その先生によるんでしょう。」
そして気になる給与だが、その男性によると、「僕の所は日給1万円でした。それにプラスして、単行本の印税が入ると臨時でボーナスをいただいてました」この給与金額もアシ先の先生によって色々だそうだ。男性曰く、僕は平均並みとのこと。
聞いた限りでは、そこまで過酷な職場ではなさそうだ。むしろ憧れの先生に習い、漫画好きのアシ仲間と切磋琢磨し合う、よい環境なのでは?
「アシ同士、仕事仲間なので、それなりに仲良く付き合いますが、やはりプロを目指すライバルでもあるので、自分の手の内は見せないというか……。ネタをパクられることもあるので、自分のネタの話はしないですね」
だそうで、師匠である先生も、
「学校じゃないので、教えてくれることはほぼ、ありません。自分でスキルアップするしかない。アシをやっている時間のほうが、自分の漫画を描く時間より長かったので、どうしてもアシ先の先生の影響を受ける。それが裏目に出て、自分の個性が出せなくなることも。何を描いても先生の作品に似ちゃうんです(笑) だから、デビューした漫画家さんが、アシ先の先生と作風が似てしまうことはよくあります。効果音などの描き文字を見ると、似てるのがわかりやすいですよ」とのこと。
最後にアシの仕事で困ったことを聞いた。「印象的だったのは『このコマに未来の空中要塞を描いて』と指示されたときですね。空中要塞なんて描いたことないし、そもそも“未来の”って?? と」。とは言え、先生には逆らえない立場。困った男性が資料はないですか。と尋ねると、「資料? ないよ! とにかく、未来っぽくてカッコ良いのが出てくるんだよ。」と、ムチャぶりともとれる説明。しかし、なんとか描きあげたという。先生の希望に応えるのも優秀なアシスタントの仕事だと、彼は言う。
(文=山田マヤ)