とんかつに致命的に足りないもの、それは「かわいさ」。とんかつは大男はがっつくもの、男の食べ物というイメージが僕にはある。女性にもとんかつにふりむいてほしい。とんかつに出会ったあの日のように。そのためには見た目をかわいくすればよいのではないか。誰にも頼まれていないが、僕が立ちあがった。
とんかつのかわいさを担当するのは、ご存じかわいさの塊「リラックマ」。とんかつとリラックマを足して、「とんかつっくま」をつくりたい。
材料はとんかつ、のり、スライスチーズ。まずはクッキングシートにリラックマの絵を書き、目や鼻など顔のパーツに切る。ここで「とんかつっくま」のかわいさの70%は決まる。イラストを書いては消し、慎重にはさみをいれる。
つぎに顔のパーツの土台をスライスチーズでつくる。切ったクッキングシートの形に合わせ、竹串で顔のパーツをくり抜く。
今度はのりをカットする。目や鼻の形に切ったクッキングシートを、のりに乗せて切っていく。のりをはさみで細かく切るのはとても難しい。とくに鼻の八の字(通称ちょんちょん)は細くカーブしており、何度も失敗。イラッとしてはさみをぶん投げそうになるが、お気に入りの曲をきいて心を落ち着かせるという方法で乗り切った。ありがとうYouTube。
土台のチーズにのりを乗せ、顔のパーツができあがった。あとはとんかつにのせるだけだ。クライマックスに胸が高鳴る。ピンセットで目や鼻をとんかつにのせると、かわいさ100倍のとんかつがお目見えした。
つぶらな瞳で見つめる「とんかつっくま」。もう男の食べ物なんて言わせない。貴女もかぶりついて欲しい「とんかつっくま」に。
(写真、文=武田タケ)