【第35回 大人は「片想い」しないものなのか!?】
最近は、雑誌や書籍、インターネットで、恋愛に関する様々なテクニックやハウツーを入手できる時代になりました。自分ひとりで悶々としていますと、どうしても手法が偏りがちになりますから、実践するかしないかは別としても、参考程度に目を通すのは大いにアリでしょう。
ですが、「どういった恋愛ステータスの人を対象に書かれているのか?」という観点から見てみますと、圧倒的に多いのが「交際中の恋人との関係性についてのハウツー」もしくは「特に決まった相手がいないので、出会いを探している人へ向けてのハウツー」、この2例がほとんどなのではないでしょうか?
いわゆる、片思い中の人に向けてのハウツーが圧倒的に少ないのです。この背景には、「小中学生じゃあるまいし、イイ歳したオトナは片想いなんぞしないもの」という風潮が隠れているような気がします。要するに、「両想いになる見込みのある人しか好きにならない」ということ。もちろん、人間には理性だけでなく、ちゃんと本能が備わっていますから、見込みがあるとは思えないような相手を好きになることもあります。しかし、その本能に対して、すぐに蓋をしてしまうようになっているのかもしれません。
これが、「大人になった」ということなのでしょうか? 思えば子供の頃は、例えば将来の夢を問われた際も、「野球選手」「総理大臣」「宇宙飛行士」など、実現の可能性は関係なく、瞳を輝かせていたものです。それが大人になるにつれ、「勝ち戦しかしない」という合理主義になってしまったような気がします。「ちんたら片想いしているヒマなんて無いだろう! 適齢期はとうに過ぎているぞ!」という理性が、片想いをするということに対して足踏みをさせているのかもしれませんね。
このように、片想いをする大人が減りつつある中にあっても、「実は片思い中である」という人も存在することと思います。そういった皆さんは、「なんとか片想いを実らせたいと、ハウツー情報を探しているのに、なかなか見つからない」と、ハウツー難民になりつつあるのではないでしょうか?
「大人の片想い」が、もう少し市民権を得てくれたら、そういったハウツー情報も増えるのでしょうが、今すぐ認知されるかというと、残念ながらちょっと難しそうな気がします。「大人の片想い」が社会的地位を確立するまでは、各々オリジナルのやり方で頑張るしかなさそうですね。いや、「大人の片想い」が市民権を得る頃には、片想いを卒業していたいものです。
(恋愛コラムニスト=菊池 美佳子)