この夏のお盆休み、無事に富士登頂を果たしたPouch編集部のアウトドア部一行。頂上でしばし達成感を味わい、太陽が沈み始めた18時頃に後ろ髪がひかれる思いで下山の途につくことにしました。
目下には相変わらず分厚く真っ白な雲海が広がっていたのですが、雲の表面をマジマジと見てみると、なんと三角形の影が映っているではないですか! 初めて生で見るので最初は確信が持てなかったのですが、いつぞやか写真集などで見て思わずスゲーッと感嘆したことがある「影富士」だったのです。
富士山の見方には3つの楽しみ方があるのですが、そのうちのひとつが「影富士」です。ほかには気象条件のいくつもの偶然が重なったときに見られる「赤富士」と、富士山麓の湖に富士山が映った「逆さ富士」があります。
影富士は、朝日や夕日を受けて富士山の美しい形がすそ野や雲に影となって映ることですが、山頂近くまで登らないと見ることができないそうです。さらに、太陽がちょうど良い角度で富士山を照らす日の出日の入りからの数時間、眼下に雲海が低く垂れこめていないと見れないということで、今回見られたのは幸運だったようです。
この影富士を見るために山頂を目指す人も多いそうですが、影富士を見るのに適した白い雲が立ちこめているときは登山をするには厳しい条件であるとも言えるそうで、なかなかお目にかかるのはひと苦労のようです。確かに、登山開始後に冷たい雨に振られるなど、思い返せば初心者には厳しい登山でありました。
下山するにつれて、影が少しずつ大きくなったり小さくなったり薄くなったり濃くなったりと、夕日が織りなす幻想的な色と共に変わっていきます。しかもこの影富士、影の頂上付近から放射線状に後光がさしているではないですか! なんとまあ、ありがたい!
早く下山しなくてはと思いつつも、一瞬一瞬の影富士の美しさを逃したくないとシャッターを無心に切り続けました。この言い知れない儚さと美しさ、みなさんもぜひご覧になってみてね!
追記:この記事の影富士は、須走口コースより眺めた風景です。
(文=メル凛子/写真=Pouchアウトドア部)
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