日の出や夕陽だけでなく、月が昇り、沈んでゆく姿もまた感動的なものです。しみじみと、また様々な想いを抱きながら空を眺めたような経験が、誰しもあるのではないでしょうか。
そんな皆さんに、3分だけ時間をいただきたい。そしてぜひ、今回ご紹介する動画を観てみて欲しいのです。月が昇る様子と、それを眺める私たちのどこか切ない気持ちを、かつてこんなにもシンプルに美しく表現した映像があったでしょうか……。
動画のタイトルは『満月のシルエット(Full Moon Silhouettes)』。ニュージーランドのヴィクトリア山に昇る月をとらえた動画です。写っているのは、昇ってゆく満月と、それを眺める人々のシルエット。本当にただそれだけです。
しかもこの映像、最近さかんに作らていれる ”タイムラプス(早回しのようなコマ落ち動画)” ではなく、リアルタイム動画なのです! 不思議な効果は、強力な望遠レンズによる独特の遠近感によるもの。そして、絶妙な構図で映し出される人々の影が郷愁を誘います。バックパッカーでしょうか、中央で独りしばし眺めてから下山する男性の後ろ姿が特に印象的です。
撮ったのは、ニュージーランドの写真家マーク・ジー(Mark Gee)氏。月に1度の満月ですから、撮影はチャンスの少ない真剣勝負。およそ1年の準備と沢山の失敗の末にようやく成功したそうです。
(文=黒澤くの)
参照元:apod.nasa.gov(http://goo.gl/jIYPa)