突然ですが、皆さんは「島根県」といえば何を思い浮かべますか? 出雲大社? 松江城? 隠岐の島(おきのしま)?
もしかしたら、もしかしたら、なかには「し、島根県……?」と、答えに詰まってしまう人もいるかもしれません。というのも、島根は、過去にネット上で「実はどこにあるかわからない都道府県ランキング」や「自分とは無縁だと思う都道府県はどこ?」というアンケートで堂々の1位に輝いてしまった県ですから……
だが、しかしッ! そんな存在感の薄さを“自虐ネタ”に変えることで、話題を呼んでいるカレンダーがあるのです。その名も「島根県×鷹の爪 スーパーデラックス自虐カレンダー 2014」。それでは、哀愁漂う秀逸な自虐フレーズの数々を見てみましょう!
筆者は、出雲大社近くのお土産屋さんでカレンダーを発見! アニメや映画館のマナービデオでおなじみ、「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが大きくプリントされています。壁掛け用と卓上用の2種類があり、もちろん両方とも即ゲット!
いったい、どんな自虐ワールドが待っているのか、ドキドキしながら開封します。
卓上用カレンダーのジャケット。「富士山、おめでとう! by 先に世界遺産に選ばれた石見銀山」のメッセージ。祝辞を述べているだけなのに、すでになぜか哀愁が漂います。例えるならば、スーパー人気者のイケメン後輩を遠い目で見つめるオジサンOBのようなコメントに、目から汗がでてしまいそうです。
壁掛け用のジャケットには「2200年は、島根に招致!」の文言が、大きな字で躍っています。目的語は不明ですが、おそらく、2020年の東京オリンピックを意識したものでしょう。2200年といえば、今から186年先のことです。それまで待ち続けようというひたむきな謙虚さに、目頭があつくならざるをえません。
さて、ホントはカレンダーに描かれている全部のフレーズを紹介したいところですが、盛大なネタバレになってしまうため、ここからは筆者の胸に特に「ウッッ」と刺さったものをピックアップしたいと思います。
まずは、卓上用の1月。「島根は、もう本気出しつくしました。」
「1年の計は元旦にあり」などという言葉を真向から否定する、この姿勢。フテ寝しているようにしか見えないレオナルド博士のポーズといい、年初から、やさぐれムード全開です。「ああ、これまでにきっと、本当にいろいろ手を尽くしたのだろうなあ」と、島根県の努力を察せずにはいられません。
続いて、卓上版の4月。「クラス写真じゃありません。全校生徒です。」
これは、説明不要ですね。4月というと、入学式シーズンですから、ついつい想像が膨らんでしまいます。
個人的には、筆者の愛する隠岐の島について「※隠岐のネタ、見つかりませんでした。(9月)」と、バッサリ斬られていたことに胸が痛みましたが、このまま続けましょう。
壁掛け用カレンダーは、卓上用とは異なり、2か月につき1枚となっています。こちらは、サイズが大きいだけに、目に飛び込んできた瞬間の破壊力も大。
7~8月。「台風すらスルーする。」
天災による被害と無縁なことは、もちろん喜ばしいことです。でも……「すら」という副助詞に込められた実にさまざまな思いの重さに、いたたまれない気持ちになってしまったのは、わたくしだけでしょうか。
11~12月。「また来るぜ! と言ってたバンドが二度と来ない。」
確かに結んだはずの信頼関係が、いつのまにか“無かったこと”になってしまう。諸行無常です。約束の言葉を信じて、いつまでも待ち続けるファン。「いつか、あの人は再びこの地に帰ってきてくれる」と信じて……。想像しただけで、ハンケチ2枚分は泣けます。
ほかにも、素晴らしすぎる自虐フレーズ満載の、こちらのカレンダー。2011年版から販売が開始され、毎年ネットで話題になる人気商品だそうです。
“THE 地味県”としての哀愁を漂わせつつ、それを逆手にとってネタにするたくましさ! これを機に「島根県に興味がわいてきた」という方は、ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか? ちなみに、黒井のおすすめは、サンライズ出雲(寝台特急)→出雲大社→美保神社(両参り)→境港観光(鳥取)で、道中美味しい魚介を堪能しまくるコースです!
参考リンク:鷹の爪.jp
(写真・文=黒井まみ)