どんな大学を出たか、っていうことと、どんな人なのか、は関係ない。学歴で人を見るなんて、サイテーなことだと記者は思います。だいたい、某巨大掲示板の特定の場所ではどこの大学がどうだ、なんて議論(というか罵り合い)が見られますが、どうなのかねえ。
けれど世の中には、ちょっとそれはヤバいのでは……!? と思うような大学もたくさんあるみたいです。ヤバそうな大学、弱りすぎてる大学……そんな「低迷する大学」を名指しで公表し、ちゃんとしやがれ! という激おこコメントをたたきつけた方々がいます。それはほかでもない、日本の教育の総元締めたる文部科学省!! そのコメントから見えてくる、お上をキレさせる大学のヤバさといったら……!!!!
2月12日、文部科学省は「設置計画履行状況等調査の結果等について(平成25年度)」という調査結果を発表。それだけ見ると、なにやら難しそう……ですが! その中に書かれているのは、ヤバいと判定された大学の名前と、激おこな叱責コメントの数々でした。省庁がこんなコメントを出すのか! と思わずビビる、ストレートな苦言の数々。ここでは大学名を軽く伏せながら、その一部を紹介していきます。
■ 「留学生に日本語教えてるだけじゃねーか!!」(東京・私立TF大)
日本語学習に関する科目を受講することで、卒業要件単位の半数以上を取得できる体系となっている。学士(教育学)を授与するにふさわしい教育課程となるよう見直しに努めること
留学生を受け入れるのはいいけど、日本語だけで半分以上の単位じゃあ、語学学校って言われかねないじゃんね……。
■ 「定員無視して学生入れまくってんじゃねえよ!!」(埼玉・私立JM大)
開設以降、入学定員を大幅に超える学生を入学させており、教育環境の悪化が懸念される/入学者選抜の方法の検討や入試区分ごとに適切な定員管理を行い、教育環境の充実に努めること
文科省に叱られるぐらいだから、よっぽどムリしてるのね……。学生入れまくるともうかるもんね……。この「定員より学生を大幅に多くとっている」と指摘されている大学はほかにもかなり多い模様。
■ 「合格者水増ししてるし先生やめまくりだし、お前なめてんの!?」(埼玉・私立NH大)
過去にホームページで公開している合格者数を意図的に改ざんしていたことは由々しい問題/教員の離職率が比較的高く、教育・研究に支障を来している
この大学、ほかにも「100人の定員なのに129人入れただけでもヤバいのに、『次の年は110人にするから』とか言ってふざけんな」などなど、いろんな点でかなりキツく叱られてます。ツッコミどころがありすぎて、人ごとながらもダイジョウブかって思っちゃいますよ……。
■ 「は!? 大学なのに『beどうしのつかいかた』が必修だとコラ!?」(東京・YG大)
「イングリッシュスキルズ(基礎)」については、Be動詞や文の種類(単文から複文)から仮定法までの内容とせざるを得ない状況と推察すると、入学者選抜機能が働いているとは考えられない
入試の意味ねーだろコラ、って叱られてるね……。でもね、正直なだけだと思うの。このリストに入った大学ではみんな、こういう基礎をちゃんとやったほうがいいと思うの。これはちょっと大学サイドに同情しちゃう。
■ 「いやいや学生やめすぎ、留年しすぎだっつの!」(神奈川・YY大)
退学者及び留年者の人数が多いことについて、成績不振者に対する様々な取組はなされているが改善が見られない
これも、「学生はお客様だから」って甘やかす大学多いけど、それなりにちゃんとやってるってことじゃないのかなあ。でも文科省がキレるくらいだから、どれぐらいやめまくりなんだろう……。
■ 「学生少なすぎ。てか報告書テキトーに出してんじゃねえよ。次許さんぞ」(大阪・ON大)
開設以来大学が設定した入学定員に比べて、入学者が著しく少ない/報告書等において不備が散見されることから、今後二度とないよう厳重に注意すること
著しく! どんだけ少ないんだろう。っていうか書類がグダグダすぎて「二度とすんな」って言われてるね……次やったらどうなるのかな! こわいね!
■ 「社会福祉学なのに社会福祉士の資格がとれねえ? ギャグか?」(兵庫・KI大)
学位の分野が社会学・社会福祉学関係であるにも関わらず(中略)社会福祉士の資格取得をやめたことは、設置計画で示している本学科の目的や養成する人材像との整合性の観点から不適切である
これはちょっと意味わかんないです。何を目指して勉強するんだろ? 文科省じゃなくてもツッコむよね!
■ 「これやりまーすって言ってた授業、8割やめてんじゃねーか!」(兵庫・TD大)
開設初年度から毎年度、教育課程を大幅に変更し、廃止科目が設置計画時の84%に及ぶ
うわーテキトウな計画……。ところで、「造形芸術学部想像力創造学科」には学生の人気科目「実技演習(ボーカル)」があるんだって! なんかすごいね!
■ 「定員足りないの直んねえな。てか募集要項とかで誇張してんじゃねえ」(長崎・NW大)
入学定員の充足については、開設以降留意事項として改善を求めてきたところであるが、いっこうに改善されていない/大学案内を含めた大学の情報提供について、一部誤解を招く表現となっている
がんばってるかもしれないの。許してあげてね……と思ったら「誤解を招く表現」だと国から指摘されちゃうようなことしてるんだね。
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これは、文科省の「設置計画履行状況等調査」というもので、大学が新設されたり新しい学部ができたあとに追跡調査する「アフターケア」。文科省は大学に補助金を出していることもあって、新しい大学・学部がちゃんとしたものになっているかどうかをしっかり監視しているのです。
最近、それまで短大だったところが4年制大学に改組したり、あるいは自治体が地域振興を図って大学を新設したりといったことがよくあるようです。けれど、1992~3年ごろをピークに、学生の数は右肩下がり。学生の数が減るいっぽうなのに、大学の数は増えていっている……。そりゃ、ムリが出るというものです。
この件について、『最高学府はバカだらけ』『就活のバカヤロー』などの著書をもち、大学教育の表とウラに精通するジャーナリスト・石渡嶺司さんに感想をうかがってみました。
「be動詞を教えるな……そんなこと言ったって学生はできないんだし、というのが当の大学の言い分でしょう。できない以上は教えるしかないでしょうし。ここでツッコむのは仕方ないにしても、そもそもこういう学生、こういう大学を生み出している文部科学省が高等教育を見直すべきでしょう」
たしかに! もっと深いところ、教育のありかた自体を見なおさないとですよね。なんだか教育を間違えたおとうちゃんが息子を叱りつけているのを見るような……?
いずれにせよ、楽しい大学生活を夢見て入ってくる学生たちを裏切らないように、大学にはちゃんとした運営をお願いしたい。それができないなら……。ちょっと、考えさせられちゃうお話でした。
参照元:文部科学省「設置計画履行状況等調査の結果等について(平成25年度)」
執筆=纐纈タルコ/ 撮影=Daisuke S. (c) Pouch