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仏滅とか友引ってなんなの? 調べてみたらけっこう意外な結果に……仏滅=「縁起のイイ日」の可能性が!

2014年5月15日

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突然ですがみなさん、好きですか仏滅。え、嫌い? じゃあ友引はいかがでしょう。あ、やっぱお嫌い。そうですかそうですよね。

「仏滅に婚姻届出してきました」だの「友引にじいちゃんの法要やるんで万障繰り合わせて」とか言うとパンク野郎、あるいは頭のアレな子扱いされる確率が高い気がします。現実主義がわりと浸透した現代日本なのにですよ、けっこう不思議じゃありません?

そんなふうに思い立ったのは、こないだ一緒に飲んでたツレの男子に酔った勢いで「タルコさん仏滅顔っすよね」とか言われたせいなのですが。(なんだ仏滅顔って!! てか「酔った勢い」の方向がおかしいよ!!)

ともかく、カレンダーを見ると月に何度も「仏滅の日」がある。仏が滅んだ、つまり、ブッダ先生がお亡くなりになった日だよね。それゆえ結婚式なんかのお祝い事にはそぐわない、やたら縁起の悪い日ってことになってる。

でも月に数回なんて、いくらなんでも亡くなりすぎだよなあ。こりゃどういうことだろう? ちょっとばかり調べてみました。以下、そんなの知ってるよー、という方も、温かい目でお見守りくださいませ。

■ Stage 01 一般的な認識は……

ふつうみんなが思うのは、

仏滅……何をするにもすっごい縁起の悪い日だよ。冠婚葬祭やめときな!
友引……縁起悪いことをすると友達にも呪いがかかるよ。葬式は厳禁だよ!
大安……とっても縁起のいい日だよ。祝い事はぜひこの日に!

てな感じじゃないでしょうか。記者も親もまわりの友人たちもずーーっと、そういうふうにしてきた気がします。

■ Stage 02 仏教のひとに聞け!

まずは僧籍方面にってことで、群馬の山奥のほうで実家のお寺を継ぐことになってる後輩・高木くん(28)に聞いてみた。ねえねえ、仏滅って何なの?

「よく聞かれるんですが……仏教とは何の関係もないんですよ」

まーじーかーーー。子供のころよく遊びに行ったじいちゃんちの壁掛け日めくりカレンダーで見て、じいちゃんに「ほとけさまがいなくなったこわい日なんだよ」って教えられて以来ずっと怖いって思ってたけど、デマかい!

「カレンダーのいう仏滅や友引は“六曜”っていって、仏教とは別の考えです。仏さまの御入滅はたしかに「仏滅」というのですが、1ヶ月に何回もあるアレはまるっきり別物。この道の人間からすると、なに勝手に増やしてくれちゃってんの、てな感じで(笑)」

六曜。あまり耳慣れない言葉だ。カレンダーをよく見るとたしかに6つ、書いてある。先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口。上で登場したトップスリーは見覚えあるけど、先勝は……先手を取ると勝てる感じ? 赤口にいたってはなんのことやら。そもそも、そんなよくわからないものが、なぜカレンダーに書いてある?

■ Stage 03 印刷会社の営業くんに聞け!

その謎の手がかりは、意外なところにありました。「あー、俺聞いたことあります」とは、某大手印刷会社で外回り営業をする堀口くん(仮名)。いわく、「六曜ってのは戦後までマイナーだった、一種の民間信仰らしいんすよ」

ううむ、なんでそんなものがカレンダーに載ってるんだ?

「ずばり言っちゃうと、カレンダーを売るためですよ(笑) なんかこう、日付のところにいろいろ書いてあると、あっ今日は何何の日だ、とか思うじゃないですか。六曜は、ぱっと見で不吉そうだったり意味不明だったりして占い感がある。しかも6個だからどんどん曜日とずれていきます。カレンダーを見ないと、今日が仏滅だか大安だかすぐに計算できません。まさしくカレンダーにもってこいなんです」

カレンダー屋さんの戦略だったのね! そうかー……ってなんで印刷会社のきみがそんなの知ってる?

「……カレンダーつくる会社に入れ知恵したのが、うちの会社のとおい先輩だっていうウワサで……」

■ Stage 04 中堅教育出版社の編集くんに聞け!

古い日本の話なら、古文を扱うひとがいいだろう。ということで、わりと老舗な教育出版社で国語の参考書なんかを作っている嶋さん(仮名)に話を聞いてみました。

「六曜は、鎌倉時代に中国から伝わったという説、江戸時代中期に創作されたという説などがあります。実際のところ、よくわかっていないというのが実情ですが、ひとつだけ言えることは……」

ゴクリ。なんざんしょう。

「『赤口』以外、名前も意味も時代が進むにつれてすっかり変わってしまっている、ということです」

意味も! 名前も! 違うのかーーー。なんという……もしかして、適当なんじゃないのかこれ?

「たとえば『仏滅』ですが、もとは『空亡』『虚亡』といい、すべてがむなしい日、といった意味でした。これが、すべて滅ぶとして『物滅』になり、漢字がすげ替えられて『仏滅』になったらしい。仏さえ滅ぶほど縁起が悪い、ということにされたのは、この漢字があてられてから後のことです」

なんか、文字遊びみたいじゃない? こんなお遊びみたいなもので吉凶決められるのは納得いかないような……。

そんなわけで、嶋さんに教えてもらった六曜のトップ3(+1)の別解釈がこちら!

仏滅……もとは「物滅」。すべてが消えて新しくなる日。ニュースタートに最適な縁起のいい日だよ!
友引……もとは「共引」。何度勝負しても勝ち負けがつかない日だよ! 敵味方なし、ノーサイド!
大安……もとは「泰安」。こころやすらかに過ごす安息日だよ! べつに縁起がいいとかじゃないよ!
赤口……じつはラスボス

ふむ、ずいぶんと違うなあ。って、待って待って、こっそりラスボスってのがいるよね……!?

「赤口は、ちゃっかりオリジナルから名前を変えていない唯一の存在……。これは陰陽道信仰の『赤舌日』という最凶の日からきているものです。由緒ある凶日ですねえ」

ぎゃあああ、やっぱ怖いんじゃないか! 現代人は怖がるべき日を間違えてるけど!

「とはいえ、今から680年以上前、鎌倉時代の末期に吉田兼好さんがこんなことを言っています。

吉日に悪をなすに必ず凶なり。悪日に善をおこなふに必ず吉なり。〈徒然草 第九十一段〉

『吉日っていったって悪いことしたら100%凶になるし、凶な日だっていいことしたら100%吉になるだろ。(迷信しんじるのもいいかげんにしとけよ)』ってところでしょうか」

すげえな兼好法師! 別の話ではキラキラネームたしなめてるし(第百十六段)……でもほんと、そのとおりかもね。この日はだめでこの日がいい、なんて、きっとないんだよね。

日本のちょっとした文化としてこの六曜があるのは悪いことじゃないかもだけど、こんなので冠婚葬祭をどうこうするのは意味が無いことかもしれない。気にしないようにしようと思った記者でございました。何か腹が立つことがあったことを忘れている気がしますが、それも気にしません。

取材・執筆・撮影=纐纈タルコ (c)Pouch

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