これは絵画? それとも彫刻?
ひと目見ただけでは判別がつかない、でも一瞬で引き込まれてしまうこの不思議な作品。「深海での光るクラゲとの出会い」とでもタイトルをつけたくなるような作品は、温かいオレンジ色の光が作品から放たれて、とっても幻想的。
彩色は一切されていないそうなのですが、とても信じられないほどの美しさ! いったいどういう仕掛けになっているの~!?
【物語を感じる作品】
たとえば森の中で美しく大きな鹿に出会ったような作品や、気球に乗って夕焼け色に輝く空を山を見ながら飛ぶような作品、船を漕いでいるうちに大きな魚に遭遇した姿を表したような作品など、作品はただ繊細で美しいだけではなく物語のような奥深さを感じさせるものばかり。わくわくするようなアドベンチャームービーや、ハラハラしながら読み進めるミステリー小説のような、驚きや発見に満ちています。
【作品は、紙を重ねて作った「紙の彫刻」】
なんとこれは、繊細にカットされた真っ白な紙を幾重にも重ねて、更に裏側や下の方からLEDの光を当てた、立体的な「紙の彫刻」なんです。
たとえば冒頭で紹介した作品には、実際に紙で作ったクラゲが使われています。そのクラゲの足の緻密さといったら、それだけで作品として展示できちゃいそうなほど!
【アーティストはインド出身のカップル】
これらは全て、インド出身のカップル、Hari Panickerさんと、Deepti Nairさんの共同作品。Hariさんは、以前はムンバイで活躍するグラフィックデザイナー兼イラストレーターとして活躍中でしたが、バリで伝統的な影絵芝居を見て一瞬で恋に落ち、以来、紙と光を使ったアートワークに魅せられて試行錯誤を重ねてきたといいます。
パートナーのDeepti Nairさんは現在、大手テレコム会社に勤務する会社員でもあります。アーティストとの二足のわらじは大変そうですが、その仕事については「正気を保つのに役立ってるわ」と笑います。彼女にとって芸術とは「感じられて、経験できるもの」でなければないんですって。なるほど~。確かに2人の作品は、物語を感じられて、驚きを経験できるものですね!
【紙という素材と、作品の背景にあるインスピレーション】
彼らにとって紙とは、「そのシンプルさゆえにとても冷徹な素材」であり、これらの作品たちが鑑賞者を魅了するのは「点灯時と消灯時のあまりにあからさまな対称性」だと考えているそう。そしてそれが「ミステリアスな効果をもたらす」とのこと。確かに電気をつけているときとそうでないときでは表情が全く違います。
作品には、彼らがインドやニューヨーク、タイ、そして現在の住居であるコロラドを含むアメリカ国内を旅する中で、その美しさや雄大さからインスピレーションが反映されているそう。それが、作品から物語を感じさせているのかもしれません。作品の前に立って眺めていると、どんどん引き込まれて自然と物語を紡いでしまいそうになる、そんな楽しみ方のできるアート作品です。
とにかく美しい作品達。インスタグラムやホームページで、二人は作品を続々公開中。実は購入することもできちゃいます。ぜひ、のぞいて見て、作品の幻想的な世界を旅してみてください!
参照= THE BLACK BOOK GALLERY、Instagram @Harianddeepti @blackbookgallery
写真提供= THE BLACK BOOK GALLERY
執筆 = 山川ほたる (c) Pouch
▼電気をつけなくても美しい▼
▼こうやって家に飾りたい!▼
▼電気をつけて部屋を暗くすると、とってもファンタジック!▼
▼赤ちゃんも目が釘付け!▼
▼1点1点に物語を感じる作品たち。すてき〜▼