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映画『ヤバい経済学』相撲八百長問題、中絶で犯罪を激減など…際どすぎて面白いドキュメンタリー【最新シネマ批評】

2011年5月27日

[公開直前☆最新シネマ批評]

映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは28日より公開の、世界中で400万部売り上げた同名ベストセラー(スティーヴン・D・レヴィット&スティーヴン・J・ダブナー箸)の映画化『ヤバい経済学』。エンタメ経済ムービーと銘打った楽しく学べる映画です。

5つのエピソードからなるこのドキュメンタリー。イントロで全編を貫く核ともいえる言葉「インセンティブ」を用いて不動産業者の商売について語り、名前が子どもの人生に与える影響をリサーチした「ロシャンダが別名なら」、相撲の八百長疑惑から日本の殺人捜査の実態にも言及した「純粋さの崩壊」、犯罪発生率が減少したのは中絶を合法化したからだと証明する「素晴らしき哉、人生! とは限らない」、高校1年生に成績アップしたら報酬を与え、学力とインセンディブの因果関係を探る「高校1年生を買収して成功に導けるか」と続きます。

これがいちいち「ほー、ナルホド」と納得できるのは、やはりきちんとしたマーケティング、地道に集めたデータ、徹底した取材と裏打ちされるものがあるからでしょう。

プロデューサーのチャド・トラウトワインは、原作を読んで映像化に駆り立てられたそうです。「この原作は人生のさまざまな場面でより良い選択をする手助けになる。国家レベルの経済論だけでなく、一般家庭の親たちも助けてくれる内容なんだ」と語ります。確かに、名前で人生が左右されることもあるだろう。変わった名前でいじめの標的なることもあるかもしれないけれど、成功すれば、その名前は経済へと深く関わってくる可能性もあります。

トラウトワインは各監督に条件も縛りも与えず、好き放題やってもらったそうです。その結果、『エンロン巨大企業はいかにして崩壊したか』のアレックス・ギブニー監督は、相撲の八百長を徹底取材(曙や小錦も登場)。高校生を買収して学力アップの調査をしたハイディ・ユーイング&レイチェル・グレイディー監督は、原作を逸脱し「本の通りに撮るなんてつまんない!」と原作のネタを元に壮大な実験をやることに!

ハリウッド映画界のお偉いさんは、編集にまで口を出すと言われますが、任せた以上、口を出さなかった本作の製作陣は器が大きい。結果、5つのエピソードはカラーがまったく違うけれど、逆に面白いものになったのですから。

ちなみ原作は全米でも大人気で、Tシャツや卓上カレンダーといったグッズも人気との噂。日本公開では、当初字幕のみでの公開予定でしたが、より理解し、楽しんでもらおうと日本語吹き替え版も制作。今を生きる社会派風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の方たちが担当しています(新宿武蔵野館HPより)。

堅苦しい経済映画ではないからご安心を。社会の裏側には目からウロコの「そうだったんだ~」がイッパイですよ。(映画ライター=斎藤 香)

『ヤバい経済学』

5月28日より、新宿武蔵野館、シアターN渋谷で公開

監督:モーガン・スパーロック、アレックス・ギブニー、ユージーン・ジャレキ、ハイディ・ユーイング&レイチェル・グレイディ

出演:スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナーほか

配給:アンプラグド カラー/アメリカンビスタサイズ/ドルビーデジタル

(C) 2010 Freakonomics Movie ,LLC

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ライタープロフィール(http://bit.ly/hlZYAr

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