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ドキュメンタリー映画『日本列島いきものたちの物語』の76歳のカメラマンが凄いらしい!【最新シネマ批評】

2012年2月3日


[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップしたのは2月4日公開のドキュメンタリー『日本列島いきものたちの物語』。ナビゲーションを担当するのは嵐の相葉 雅紀、長澤まさみ、ガレッジセールのゴリ、黒木瞳の4人。それぞれが自分の担当の動物たちの生態を、まるで動物たちの友だちや家族のように親しみを込めてナビしています。

この映画について、ナビを担当したゴリ氏によると「大自然というとアフリカとかアマゾンとかを思い浮かべがちですが、日本をなめちゃいけないですね。日本には9万種類の動物がいて、不思議な動物もいれば、身近な動物にすごい才能があったりして驚きました」とのこと。

まさにその通り。北海道の知床半島、青森の下北半島、兵庫の六甲山地、鹿児島の屋久島、沖縄の西表島……全国の陸、海の生き物たちにギリギリまで近づいて、その真実を切り取った映像は迫力があり、大自然も素晴らしい。「日本はこんなに美しい国だったんだ!」と、日本の美も再発見できます。

しかし、この映画を完成させるまでの苦労は並大抵の物ではありませんでした。

出田恵三監督は「撮影期間2年半というのは、自然相手だと長いものではありません。カクレクマノミの卵の発見から、誕生を撮影するまで1カ月、タンチョウのヒナの誕生は2年かけて狙いましたが、2年とも雨で巣が水浸しになってしまいました。こういう映画は、一度機会を逃すと、次のチャンスは1年後。撮影期間が長くてもチャンスは限られてしまうのです」と多難な撮影状況を振り返ります。

タンチョウの撮影にかかわっていたカメラマンの林田恒夫さんは、今回の映画に参加したカメラマンの中でも最高齢の76歳! なんと昔の千円札の鶴の図柄になった鶴を撮影したベテランだそうです。昔の千円ですよ、みなさん。その林田さんがタンチョウを2年追いかけたわけで……凄すぎです!

生き物の撮影はまさに長期戦。出田監督は「生き物の生態をとらえるのは、99%の忍耐と1%の奇跡」と生を撮影する難しさをしみじみ語ります。「天候、生き物たちの動き、カメラマンがシャッターを押す瞬間、この3つがすべて揃ってかなうのです」。

この映画で映し出される生き物たちの世界は、全編が奇跡の賜物!

生まれて、食べて、家族を作って、子孫を残して、死ぬ。それは人間も含め、生き物すべてに共通する「生」。

嵐の相葉くんが「動物たちも人間と一緒なんですね。生命力が伝わってくる作品」と述べた通り、癒されるというよりも生きる力を与えてくれる本作。この映画の生き物たちにぜひスクリーンでパワーを注入してもらってください!

(映画ライター=斎藤香

『日本列島いきものたちの物語』
2月4日公開
監督:出田恵三
声の出演:相葉 雅紀、長澤まさみ、ゴリ(ガレッジセール)、黒木瞳
(C)2012 映画「日本列島」製作委員会

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