みなさま、上の写真をごらんください。ん、何コレ? 透明なリボンみたいだけど、自分の意志で泳いでいるようにも見えるぞ!?
はい、実はこの不思議な物体、『レプトケファルス(ラテン語で「やせた頭」の意)』とよばれるウナギの幼生なのです! 『レプトケファルス』はめったに見つからないものですが、近年インドネシア・バリ島の海にて撮影に成功。その映像が、動画サイトyoutubeに投稿されています。
厳密に言うと、『レプトケファルス』とはウナギ・アナゴ・ハモなどのウナギ目やカライワシ上目、ソコギス目の魚が幼生のときの姿で、平たく細長く透明なビジュアルが特徴です。普通ウナギは淡水で生活していますが、産卵や孵化のときに限り、外洋の深海まで回遊することもあります。そのため今回のように、幼生が海で発見されたのでしょう。
幼生期のウナギには赤血球がないうえ各器官が小さく、内部組織が透けていてはっきり見えるのは頭部だけ。この特性は、彼らが自身の身を守るのに大変役立っています。
また、『葉型幼生』とも呼ばれるこのタイプの稚魚が海流に乗り易いリボンのようなかたちをしているのは、遊泳力を補うためだとも考えられているようです。
『レプトケファルス』はこれ以後、変態して全長5cmほどの『シラスウナギ』になり、川へ戻って5年から10数年ほどかけて成長します。その大きさは、ウナギの場合は幼生期の約18倍、アナゴは約30倍の大きさにもなるそう。
それにしても優雅に泳ぐこの子がお魚だったなんて、驚きです。しかも、奇抜な風態でおなじみの深海魚などではなく、私たちにとってごく身近なウナギの幼生だったなんて! 世界は広いのだということを、改めて実感してしまいますね。
(文=田端あんじ)
参考元:youtube.com(http://goo.gl/MiVIR )