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えっ、70%オフのハズが実際は6割も高い!? アマゾンにはびこる“二重価格”の罠こうして見抜くべし!!

2012年5月7日

春の陽気にさそわれて、ピクニック! あったかくなったらやっぱり、お外でワインが飲みたい。編集部のみんなのぶんもまとめて買おう……それなら、割引があったりするアマゾンを使うしかないよね。アマゾンで激安商品を買う裏テクなんかを参考にして、安く仕入れよう!(そして差額をせしめよう)

そんなわけでアマゾンの酒コーナーを探してたら、あったよありました、70%オフ商品! 3000円のワインが73%引きの800円だって! キャー、迷わずボタンを押……おお、お? なんだか、高級ワインにしちゃラベルが大衆酒っぽい雰囲気だなー。妙にひっかかるから調べてみた……ら、他の店では496~580円! あっぶね、70%引きどころかむしろ高いよ6割も!

命拾いしたぁ……けどフザケンナ。500円ワインを「3000円ですヨー」とか言って持ち込んでたら、編集部の笑いもの&見栄子扱いになるところだったじゃないか。6倍の値段をつけておいて値引きのフリなんて、こんなの許されるの?

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じつは、実体のない高い値段を見せつつ、「~円引き!」「~割引!」とさも安売りをしているかのように見せかける行為のことを「二重価格表示」といいます。これは、不当景品類及び不当表示防止法(通称・景品表示法)第4条第1項第2号に「有利誤認」として明記されているれっきとした違法行為。違反すると内閣総理大臣から措置命令が下され、さらに違反すると2年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられるのです。

埼玉県がまとめたページ(http://goo.gl/trkPl)によると、実体のある値引き前価格(比較対照価格)とは
(1) 過去の販売価格……一定期間以上その値段で売っていたことがある。
(2) 他店の販売価格……他店が実際にその値段で売っている。
(3)メーカー希望小売価格……メーカーが指定している。
だそうです。

話を戻して、さっきのワインについて考えてみましょう。(3)、希望小売価格は調べたら980円だった→アウト! (2)は他店が500円前後で売ってるからアウト! 残るは(1)、この店が500円のワインを一定期間3000円で売った実績がないならアウトということ。希望小売価格の3倍で売るかね? はっきり「これは違法だ」とまでは判断できないけれど、怪しく思われても仕方ないんじゃないかな。

でもこれだけなら単純ミスかもしれないし、たまたまこの業者がヤバいだけかもしれない。怪しい割引率の商品がほかにもないか、ついでにこのジャンル内で探してみました。

12000円から約半額、という赤ワイン6本セット。→ 中身のワインの価格を他店で調べると、6本いずれも1000円前後=6本で約6000円だった。

2100円から約半額、というボルドー。→ 複数の他店では980円で売られている。

36000円を約10000円で、という12本入りのドイツワイン(種別はタッフェルヴァイン)。→ 調べると希望価格は1本980円、店によっては600円=12本ならなんと7200円でしかない。

こんなのがゴロゴロ出てくるっ! 大丈夫なのこれー!?

なんとかバカを見ないようにする方法はないだろうか。中堅メーカーで通販サイトの運営を統括するKさんに、二重価格表示にダマされないコツを聞いてみたよ!

「まずはあなた(記者)がやったように、何でも調べてみることですね(笑)。あまりにも割引率が高く設定されているものは、ちょっと疑ってかかるのがいいでしょう。製品名でググって、他店での販売価格を調べること。そのひと手間だけでダマされる可能性がぐっと下がりますよ」

うんうん、適当に調べただけなのに、効果あったしねえ。ほかには……?

「ディスカウントの理由を、商品の性質とあわせて考えてみること。10~20%ならともかく、割引率のやたら高い安売りには何かしらの理由があるものですよ。ほとんどは、長く置いておくと価値が下がる商品を売り切りたい、というもの。逆に、劣化しないもの・価値が変わらない商品は、大幅値引きはあまり望めません

そういうことだったのか……今回見てきたようなワインはどうなの?

「1本3000円もするようなワインは、フランス産でもそれなりの品、イタリアやドイツ産なら高級品ですよ。きちんと保管しておけば値段がむしろ上がるわけで、早く売り切る意味はないですよね。“ラベル汚損” “倒産差し押さえ” などの特殊な理由でもないかぎり、スゴい割引はそうそうないのでは」

うう、残念。じゃあ、割引されやすいっていう商品ジャンルはある?

「例えば電化製品やそのアクセサリー。モデルチェンジがあると既存製品は価値が暴落するので。賞味期限間近の食品の大幅割引もよくあります、なかでも意外なのが缶詰。長持ちするように見えるから、賞味期限のことを見落としがち。リミットぎりぎりで気づいたお店があわてて叩き売りするなんてことがたまにあるんですよ」

上手に選べば、ちゃんと安いお買い物ができるのね。……けど、やっぱりダマされかけたのが腹立つよー。なんとかできないもの?

「こういう業者が栄えることはまずないですよ。アマゾンには消費者が商品に属性をつける“タグ ”機能がありますが、すでに“二重価格” というタグをつけられた商品があります。アマゾン自体もこういう手法を放置しないでしょうし、悪質なら消費者庁や国民生活センターに通報してみてもいいかもしれません」

よし、悪を滅ぼすっ! 電話だ電話!

「ただね、二重価格表示にひっかかってしまうのは、値引きのところだけを見ているからでもある。あなた(記者)が買いかけたそのワイン、500円にしては優秀、なんて言われてるようですからモノ自体は悪くないんでしょう。実際の販売価格そのものと商品を見比べて、納得したものを買うという習慣をつけておくとより安全だと思いますよ」

むむ、そうね。ただ「安くなってる」ってだけで選んじゃってて、肝心の商品自体を見てなかったなあ。

二重価格表示にダマされないためのポイント、まとめると
・大幅な割引はまず疑ってかかる!
・とりあえず商品名でググってみる!
・割引になっている理由を商品の性質から考えてみる!
・割引率でなく販売価格を見て買い物をする!
・悪質なものは消費者庁や国民生活センターに通報!

ということだね。

情報を上手に乗りこなしたつもりが、逆にいっぱい食わされてたってお話でした。すべての高率ディスカウントがウソだとは言わないけど、怪しいのもいかに多いかを思い知ったよ。ウマイ話なんてないし、いいものを手に入れようと思うならちゃんとお金を出さないとダメってことなのかもね。

よし、気を取り直して、ピクニックには改めてちゃんと選んだワインを用意しよっと! 500円のやつ、ひとりあたり3本ずつね!

(取材・文=纐纈タルコ)

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