リクエストをどうぞ。無料で写真のフォトショップ修正を行います――。フォトショップの腕を上げたい学生たちが立ち上げた、写真修正専門サイト「フォトショップ・リクエスト」。ここに書かれたアドレスに、修正してほしいポイントを明記してデジカメ写真を送ります。すると、しばらくして修正をほどこされた写真が返ってくるのです。なんて親切な……と思いきや!
リクエストしたところとまるっきり違うところが修正されてる……それどころか、思いっきりおかしい写真になってるじゃないのよ! どういうことだ、コレ!!
そう、これは「無料修正を引き受ける学生たちは、アメリカに来たばかりでまだ英語がかなり下手。それゆえオーダーがちゃんと理解できず、あさっての方向に写真を修正してしまう……」という設定の、イタズラサイトなのです! うっかりここにリクエストを送ってしまった人(とその写真)は、ひどいメにあわされてしまうというわけ。その模様は本サイト「フォトショップ・トロール」(troll=釣り)のほうで公開されています。
わざわざ本サイトとイタズラサイトを両方立ててやっているだけのことはあり、これをやっている人のフォトショップ技術は大したもの。そんな超絶テクで依頼者たちの写真をどんどんバカ画像にしていく過程はもう、笑わずにはいられません。おちょくられていると気づかずに混乱し、必死で説明する(そしてやがてキレる)依頼人たちとのやりとりもツッコミ漫才のようで面白く、いまアメリカでちょっとした話題になっています。
そのおバカすぎるやりとりのいくつかを紹介します。
【ケース1:ジャングルくん】
依頼人:写真を直してもらえるって聞いたんだけど。追加でお金取るとかならいらないんで。無料ならお願いします。右下の歯が欠けてるのを直してほしいのと、あと背景がジャングルになるといいなあと思います。あと顔と服の汚れをとってくれるといいな。よろしくです!
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職人:もちろん無料ですよ、寄付は受け付けてますけどね^^ これでいかがでしょうか?
依頼人:うーん、歯が欠けてるのは直ってないけどかなりいいね。けど後ろの女性がへんだよね。消してくれないかな?
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職人:できました!
依頼人:まだ後ろに誰かいるって! 何なのこいつら! この現地な感じのおっさんともうひとりを消してくれればもうそれでいいよ!
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職人:なんだか不思議なご依頼ですが、やってみました……
依頼人:おいおいおいおい、アホか!! 後ろに変なヤツがいるのがダメだっつってんだ!!! いいか、俺・だ・け! それでいいの! 他の人間はいらねえんだよ!!!
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職人:口のききかたに気をつけてくださいね。バカなコメントはポケットにでもしまっておいてください。あなたがハゲ男さんだということを忘れちゃってました。あなたを一生懸命消そうとしてずいぶん時間を使っちゃったので、この人を消してあなたをまた戻すにはちょっと時間が足りません。他にも依頼人の方がいるんです。よって、こうするのがベストかと思います。これでわたしの時間不足も、あなたの髪の毛不足も解決です!
依頼人:この野郎テメエ、覚えとけよ……
【ケース2:イライラくん】
依頼人:写真全体が青っぽいんです。直そうと思ってもうまくいかなくて。カメラを水に落としたせいかなとも思うんですけど。彼女との写真をつけるので、これみたいにクリアにしてください。よろしくお願いします。
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職人:青を直すっていうのがよくわからないのですが、とりあえず水中っぽくしてみました。2枚の感じを似せるのはちょっと大変だったけど、これで同じカメラで撮ったように見えるでしょう。何かあればまたどうぞ。
依頼人:どうせならパイナップルハウス(※アニメ「スポンジボブ」に登場する海底の家)もほしいところだね……でもそうじゃなくて。水はいらないし、海のいきものもいらないです。よろしくです。
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職人:こんな感じ?
依頼人:いやいや1枚目だよ1枚目。つか俺の髪の毛どうしてくれちゃってんの! 俺と友達が写ってるやつを直してほしいんだっつうの!
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職人:すみません、髪型はあのほうがいいかなあと思いまして。ではこんな感じに。
依頼人:そうじゃねえって言ってんだろうがよ!!! ファ*ク!! なんで理解できねえんだよクソが!
職人:いいですか、これは無料サービスですよ。ちょっと言葉遣いが荒いですね。あなたの写真にもう何時間も費やしてるのに、そんなふうに言うだなんて。謝ってくれないともうおつきあいしませんよ。あと、「正確に」「ていねいに」ご希望を伝えてください。
依頼人:ごめん。希望は「最初の写真から青を抜いて」。もうアホなことしないでね。
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職人:まだちょっと攻撃的ですね。でも僕はこころが大きいからいいですよ。そう、大きいんです。
依頼人:青は無くなった、それはありがとうよ。けど俺が小せえよ! もう頼まねえよ!
職人:気に入ったらフェイスブックの「いいね!」を押してくださいね。
依頼人:うるせえよ!
【ケース3:ディ●ニーさん】
依頼人:メキシコ人さんを写真から消してもらえますか? よろしく。
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職人:ちょっと時間がかかったけどなんとかできました! いかがでしょう?
依頼人:ええええええ……ミ●キーを消しちゃったの? もっと手前のサングラスをかけた女性のつもりだったんだけど。っていうか像を消してってお願いするわけなくない? あとメキシコ人って言ったでしょ。ミ●キーがメキシコ人なわけないじゃない!
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職人:この像はミ●キーではなく帽子をなくしたスピーディー・ゴンザレス(※メキシコキャラ)でしょう? ひとまずスピーディーを戻しておきます。ついでになくした帽子も。メキシコ人と言われましてもどちらの女性がそうなのか。わたしは人種差別は嫌いなので、この人はメキシコ人っぽいとかそういうふうに他人を見ませんから。右の人のことですかね、写真からハミ出していますしこれですね。では消しておきます。
こんな感じのやりとりが多数、実際の画像とともにアップされています。興味のある方は下のリンクから訪れてみてくださいね。
それにしても、すべてのイタズラにそうとう手間をかけてます。すごい執念……もしかしたらこの方、写真修正のプロとして働きつつ、「フォトショ使えるなら写真を修正してよ」という好き勝手な依頼をさんざん受けてきて、ムカついていたのではないでしょうか。上の例を見ても、なんだか自分勝手なお願いが多いようにも思います。
フォトショップがあるとすぐにどんな修正でもできると思いがちですが、職人さんたちはその修正にものすごい労力をかけているものです。特に、「写り込んでいるものを消す」作業は恐ろしく大変。そんなのをタダでお願いするというのは、車を持つ人に「新宿から茨城の実家までタダで送って」と頼むようなものです。
自分ができないことは気軽に無料でやってもらおうと思わない、本当に望むことならきちんと対価を払うべし。バカなやりとりの後ろ側にそんなメッセージを感じられるイタズラでありました。
(文=纐纈タルコ/翻訳補助=鷹泊千里)
参照元:PhotoshopTroll.com(http://goo.gl/DzCQ2)、PhotoshopRequest.com(http://goo.gl/DtxkZ)