2011年3月11日、東北大震災が起こった日。あれから1年後、みんなはどのような生活をしていて、どのような思いを抱えて生きているのでしょうか。
『グラディエーター』などで知られる英国が生んだ巨匠リドリー・スコット監督が製作総指揮をつとめる『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ] 』。本作は、2011年3月11日の東日本大震災から1年後、2012年3月11日の映像を一般から大募集したところからスタートしました。世界12カ国から8000もの投稿が集まり、それらの映像を編集して作り上げたソーシャルネットワークムービーが『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ] 』なのです。
本作はこのたび第25回東京国際映画祭特別オープニング作品に決定! 11月3日公開に先立ち、10月20日に同映画祭の特別招待作品としてワールド・プレミア上映されることになりました。「この話題作を放っておくわけにはいかん!」というわけで、ポーチは、本作の監督のひとりである成田岳監督にインタビューをしてきました!
成田岳監督はフジテレビ・ドラマ制作センター所属の監督として「東京DOGS」「TOKYOコントロール東京航空交通管制部」などを演出してきた辣腕(らつわん)ディレクターです。
――まずは成田監督が演出を担当することになった経緯を教えてください。
「ある日、電話が鳴りまして、上司からこの映画の話を聞きました。この映画の前身となるリドリー・スコット総指揮の『LIFE IN A DAY地球上のある一日の物語』は知っていたし、その次回作ということで、自分に声がかかったのはとても光栄に思いました。半年間、ロンドンで作業をしなければならないということも苦にはならないし、二つ返事で引き受けました」
――制作は英国で行われたのですよね。現地スタッフのみなさんと8000件もの投稿映像をご覧になったそうですが、作品の方向性などが違うと、ぶつかりあうこともあったのでは?
「幸いなことに、共同監督のフィリップ・マーティンらと自分が考えていた作品の方向性は一致していました。自分自身、英国へ行く前から“こういう作品にしたい” というイメージは持たずに、まずは集まった映像を見て、作品のプランを立てて行こうと思っていたのですが、英国スタッフも“素材の声を聞いて作り上げていきたい” という考えだったのです。いい作品にしようという話し合いは常にありましたが、ぶつかり合うことはなかったですね」
――8000件もの応募作品は、成田監督の目にはどのように映ったのでしょうか?
「正直、映像を見る前は、使える映像は限られているのではないか……という不安もあったんですよ。でも実際に映像を見ていくうちにその不安はなくなりましたね。いい作品が多くて、逆にどうやって絞り込んだらいいのだろう……と悩むくらいでした」
――この映画は、リドリー・スコット総指揮のソーシャルネットワークムービー『LIFE IN A DAY地球上のある一日の物語』のシリーズとなりますが、本作との違いはありますか?
「特色としてあげるとしたら、海外の人の映像は自分撮りが多いですね。まずは自分ありきなのです。でも今回の映画を見ていただければわかるのですが、日本人の映像は自分撮りではなく、周辺の景色だったり、周囲の人だったり、自分自分! という主張が少ないです。でも、面白い、悲しいなどの感情には国境はないし、前作にもかかわった英国のスタッフが”今回は凄くいい映像が集まったと思うよ!“ と言ってくれました」
――投稿動画から映画を作るという仕事を経て、成田監督は、演出家として大きな刺激を得たのでは?
「フィクション作品を作るとき“こういうときは、この表情” など、自分の人生の引き出しから表現をしてきたのですが、今回、この仕事で圧倒的な数の人々の様々な表情に触れることができ、それは大きな財産になりました。どんなことを思っているのか、何が人生において大きな出来事なのかという、人の気持ちを知ることができたのは良かったですね」
そして最後に成田監督は「この映画は大切な人と見てほしいですね」とも語っていました。
「いろんなことを話し合ってほしいです。この映画は、投稿者の思いを伝えることを第一に考え、場所や人物の説明はしていないのです。その分、とても余白のある映画で、そこが特長でもあります。この映画を見てくださる方たちが、自分たちのことを語り合い、その余白部分を埋めてくれればいいなと思いますね」
ちなみに東京国際映画祭での上映で、成田岳監督ほか、この作品のスタッフの舞台挨拶があります! ぜひ足を運んでくださいね。
ゲスト(予定):フィリップ・マーティン(監督)、成田岳(監督)、早川敬之(企画)
東京国際映画祭『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ] 』 詳細(http://goo.gl/niHqH)
(取材、文=斎藤香)
『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ]』
11月3日公開
監督:フィリップ・マーティン、成田岳
エグゼクティブプロデューサー:リドリー・スコット、亀山千広
配給/ ギャガ ©2012 FUJI TELEVISION NETWORK,JAPAN IN A DAY FILMS LTD.