【映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。】
今回ピックアップする映画は2月1日公開、トム・クルーズ新作映画『アウトロー』です。原作はリー・チャイルドの著作で大ベストセラー。主人公ジャック・リーチャーは、携帯電話、クレジットカード、車も持たずに生きる一匹狼で、そんな”アウトロー“な男をトムはノリノリで演じています。
記者はトム・クルーズの来日記者会見にも行きましたが、彼は自分がこの映画でどんなことをしたか、どんなに大変だったか、どんなに情熱を傾けていたかと延々しゃべり倒しておりました。トムが渾身の力で演じきったのが、このジャック・リーチャー役なのです。
ピッツバーグ近郊の町で、平穏な日常を切り裂く6発の銃弾が鳴り響き、罪のない人々の命が奪われ、現場に残されていた証拠から、元・米軍スナイパーのジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)が逮捕されます。厳しい取り調べを受けていた彼は、紙に「ジャック・リーチャーを呼べ!」と書きます。ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は、元・陸軍の秘密捜査官ですが、住所の登録もなく、携帯もなく、連絡先などわからない男。ところが突然、ジャックが現れたのです。彼はイラクでバーが起こした銃撃事件を追っていたのでした。しかし、バーは囚人から暴行を受けてこん睡状態。バーはなぜ、自分を追っているジャックを呼んだのでしょうか? ジャックは真実を知るために、バーの弁護士ヘレン(ロザムンド・パイク)に協力をし、この事件の謎を解明すべく、調査を開始することに……。
自分の映画を完全にコントロールし、自身も120%の力を注いで演じるトム・クルーズの完璧主義者の姿は、この映画でもフルに活かされていたようです。視覚効果技術が発達した現在、アクションシーンにCGが使われることは多いでしょうが、トムは「この映画はCGなし、スタントマンなしで、僕が演じたんだよ」と胸を張ります。
この映画の見せ場のひとつであるカーチェイスは、ほとんど「下手すりゃ死ぬよ」といっても過言ではないくらいの危険なシーン。記者は危なっかしくて見ていられないほどでした。そんなシーンさえ、自らハンドルを握っていたトム。そういえば『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でも、高層ビルからダイブするような危険なシーンにトライしていましたね。彼は本当に「何でも自分でやらなきゃ気が済まない!」という人任せにできないタイプなのです。それも不可能を可能にするレベルで危険を顧みないのだから凄い。ジャッキー・チェンも自らスタントをして傷だらけになっていましたが、トムもいやまジャッキーレベルのアクションスターと言ってもいいかもしれません。
また『アウトロー』のプロデューサーでもあるトムは会見で「45時間ぶっ通しで仕事したけど、楽しかったよ」と、ニッコニコで語っていました。50歳のトムが45時間ぶっ通しで仕事ですよ! スタッフ曰く「撮影中、トムの睡眠時間はあっても30分の仮眠を取るくらい」だったそうです。本当にタフですね!
この映画は、アクションだけでなく、真相をめぐって二転三転する謎解き要素もあるので、アクションファンもミステリーファンも満足できるでしょう。推理力もあり、なおかつ格闘の方も凄腕で、何事も諦めないという精神力の強さも突出しているヒーロー、ジャック・リーチャー。何が何でも不正は許さない、完全犯罪と言われる事件さえ、ひっくり返してやる! とでも言いそうなジャックを見て、記者は「これってトムでは?」と思ってしまいました。ジャックとトム、ちょっとキャラが、かぶるんですよね。つまりそれだけハマリ役! ということなのです。
(映画ライター=斎藤香)
『アウトロー』
2013年2月1日公開
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ヴェルナー・ヘルツォーク、ジェイ・コートニー、ジョセフ・シコラ、
ロバート・デュヴァル
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