今や、多くの人がSNSで周りの人と繋がっている時代。とはいえ、電車の中やお店で居合わせた人と繋がるなんてことは、なかなかありませんよね。
でも、電車の中で「わー、あの人のカバン、すっごくステキ! どこで買ったか知りたーい!」とか、本屋さんで「あの人が買うか迷っている本、私は大好き! 『良いよ』って伝えたい〜」などと、見知らぬ人とちょっとコミュニケーションしたくなったことはありませんか?
そんな経験のある人にぜひおススメなバーが渋谷にできました。行ってみたら「このバーのシステムが今後いろんなところに転用されたらおもしろい!」と感じましたので、紹介します。
そのバーとは、渋谷のアップルストアの隣に月曜日だけオープンする「Logbar(ログバー)」。このログバーをちょっぴり星新一さん風に書くとこんな感じ。
「一見普通のバーだが、店内に入るとiPadが手渡される。必要事項を入力しログインすると、入店している他の客の顔ぶれやそれぞれの人の興味がiPadから確認できる。
エフ氏は釣り好きのアール氏をiPad上で発見し、まずは挨拶がてらにアール氏に宛てて『私も釣り好きなんですよ。海釣り派ですか?』と書き込む。エフ氏とアール氏はしばらくiPad上でやり取りを続け、意気投合した二人はやがて席を移動して、釣りの話を語らい合う……」
■RPNってなあに?
このLogbarは、RPNを作ることを目的に作られています。皆さん、RPNって知っていますか? 知らなくて当然。だってRPNという言葉は、Logbarを運営している吉田さんと山崎さんが作った言葉なのですから。RPNとはリアル・プレイス・ネットワークの略で、ある特定の場所にいる人たちがネットワーク上で繋がることを意味します。
■店内の見知らぬお客さんに、お店専用iPadで話しかけることができちゃう
RPNを作るために、Logbarでは入店するとまずiPadが渡されます。このiPadにはLogbar独自のシステムが組み込まれており、店内のすべての人とiPadを使ってコミュニケーションをとることができるのです。
オンライン上であるコミュニティのメンバーになったと同時にオフ会に参加しちゃった感じ。同じ場所にいる人とのコミュニケーションの糸口をネットワーク上で行い、対面でのコミュニケーションに繋げていけるのです。
だからLogbarでは、遠くの席に座っている人にも「そのカバン、すごくおしゃれですね」などと話しかけてコミュニケーションをすることができるし、隣に座った見知らぬ人の得意分野を調べて、iPad上でおしゃべりすることも可能。もちろん、話が盛り上がればリアルにおしゃべりすることだってできてしまいます。
■どうして作ったの?
Logbar代表の吉田さんはプログラマー。ネット上では見知らぬ人ともわりと気軽にコミュニケーションがとれるようになってきているのに、実際の空間ではなかなか同じことができないことに疑問を感じて、このシステムを開発したのだとか。
「いずれは、このシステムがスーパーやカフェなどいろんなところで利用されて、同じ場所を利用する人同士が『このお買い得品のイチゴ、すっぱいけどジャムにしたらおいしかったからお買い得よ』とか『誰か、私と村上春樹の新作について語りませんか』などとコミュニケーションをとるような、ゆるいネットワークができたらおもしろいと思います」
と、共同代表の山崎さんも言います。
Logbarシステムは、さらにRPNが活発になるように日々更新中。このシステムを導入したい店舗も募集しているそう。
見知らぬ他人とコミュニケーションを取るのはなかなか難しい時代でも、システムをきっかけに使えば人との繋がりは作れる。そんな新しい体験をしてみたい皆さんは、ぜひ一度Logbarに行ってみてはいかがでしょうか。20時くらいにいくと人が多くて、RPNが実感できて楽しいです!
■Logbar(ログバー)
営業時間18:00~24:00
営業日 毎週月曜日
所在地 住所:東京都渋谷区神1-20-9 パークウェイ渋谷 2F Bar ORION内
http://logbar.jp
(取材、文、写真=FelixSayaka)
取材協力=Logbar吉田卓郎、山崎貴之
▼入店時はiPadで店員さんを呼び出します。飲み物のオーダーもiPadで。▼
▼ オリジナルカクテルを作り、メニューとしてLogbarシステム上に乗せることもできます。▼
▼ マイページに特技などを載せたり、タイムラインで他の人とのやり取りの履歴をみることができます▼
▼ Logbar代表の吉田さん(左)と山崎さん(右)▼