長い時間をともに過ごした家電が壊れる。それは、モノに思い入れのある人間にとっては、とても悲しいことです。記者は先日ケータイを壊してしまい、なんとか直して使いたいと思ったものの……絶望的な修理代の前に断念。モノを大事にするより新しいモノを買うほうがずっといい、というこの社会はおかしい! なんて、酒を飲むたびにクダを巻いては男子たちに引かれております。
小型家電、とくに携帯電話は、どうも長持ちするようにできていません。無数にあるパーツがひとつでも壊れると、動かなくなってしまう。どんどん買ってどんどん捨てる……お金の無駄ですよね。だいいち、金属系のゴミがどんどん増えていくのは、環境にもいいはずがありません。
そんなデバイスの「長持ちしない」問題をスタイリッシュに一発解決しちゃう、とても素敵なケータイのアイデアを、オランダのデザイナーさんが発表しました。かなり実現度・実用度の高そうなこの提案、いま世界中で話題となっています。
オランダの工業デザイナー、デイヴ・ハッケンスさんが提案する新しい携帯電話。名前を、「PHONEBLOKS(フォンブロックス)」と言います。読んで字のごとく、ブロック式のパーツでできた携帯電話です。
ふつう、携帯電話(あるいは小型家電製品)は、一部のパーツが調子悪いだけでも捨てなければいけないケースがほとんど。メモリが壊れたり、ハードディスクの容量が足りなくなってきたら、他のパーツが問題なく動いていても、製品ごと捨てて新しいのを買わなければいけない。
そこで、ブロック式です。カメラが壊れたらカメラを、ディスプレイが割れたらディスプレイを、ブロックを入れ替える形ですぐに直せたら、携帯電話本体をまるごと捨てずに済みます。かなりの量、ゴミを減らせることでしょう。
また、パーツをすぐに交換できるということは、カスタマイズ性が非常に高いということでもあります。クラウドサービスを使いこなす人であればハードディスクやメモリーカードリーダーを外して大きなバッテリーに。アウトドア派なら、カメラをレンズ口径の大きなものにアップグレード。高齢者の方には、通話が聞こえやすいように大きなスピーカーを。
規格を統一することで、さまざまなメーカーが参入できるようになります。これは製品の幅を広げてくれますし、競争によって販売価格が下がることも期待できるでしょう。また基本デザインがしっかりしてさえいれば、統一されたブロックたちの姿は機能美を演出してくれます。
携帯電話で巨大なシェアをもつ特定の企業以外のすべての人にとって、よいことばかりのアイデアだと言えるでしょう。現段階ではこの「PHONEBLOKS」は個人のデザイナーさんのアイデアにすぎません。でも、協力する人が増えることで、アイデアはプロジェクトとなり、製品として陽の目を見る可能性が高くなります。興味をもった方は、公式サイトをのぞいてみてはいかがでしょうか。
参照元:PHONEBLOKS公式サイト
(文=纐纈タルコ)
▼わたしたちは毎日いろんな家電を捨ててる。古いとか壊れたとか、そんな理由で。
▼パーツひとつが壊れただけ。他はきちんと動く……それでもまるごと捨ててしまう。
▼それは単に、「長持ちするようにつくられてない」から。家電のゴミばかりが増えていく。
▼家電ゴミの多くを占めるのが携帯電話だからこそ、新しいアイデアの携帯電話を。
▼アンテナやストレージ、CPUやWi-Fiチップ、みんなブロック。
▼そんな、取り外せるブロックでできた、携帯電話。
▼ひとつの基板が、ブロックたちをつなぐ。
▼各ブロックが出す信号は基板とつながるピンによって転送されるしくみ。
▼処理速度が遅いと感じたら、CPUのブロックを新しいものに交換しさえすればOK。
▼カスタマイズ性も大きな特徴。クラウド派には、ストレージを外して大きめのバッテリーを。
▼写真を撮るのが好きであれば、カメラをアップグレード。
▼あまりいろいろな機能を持たせず、大きなスピーカーにする、という選択も。
▼サイト上でブロックを自分好みにカスタマイズして購入、なんていうことも可能に。
▼どんなメーカーでも参入できるから、いい部品を集めた最高の1台が作れちゃう。
▼だけどこのプロジェクトを進めるには、いろいろな職種の人が必要。
▼みんな、協力してくれるとうれしいな。
▼このプロジェクトのプレゼンテーションビデオ。よく出来ています