[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは、嵐の松本潤とドラマ「のだめカンタービレ」の上野樹里共演作『陽だまりの彼女』。中学時代の同級生の男女が再会し、結ばれる……。ハートがスクリーンから飛び出しそうなほどラブラブの甘い物語。しかし、その裏には、ヒロインの秘密が隠されているという、真実に驚くこと必至のラブストーリーです。
浩介(松本潤)は、先輩に怒られっぱなしの新人営業マン。その彼が営業先で、中学時代の同級生・真緒(上野樹里)と再会します。いじめられっ子だった中学時代の地味な真緒からは想像できないほど美しくなった彼女に驚く浩介。最初こそ照れて、親しく振舞えない二人でしたが、次第に距離は縮まり、二人だけで会うようになり、お付き合いへと発展。幸福な日々が続きます。しかし、彼女には浩介には言えない秘密が……。二人の時間はあとわずかしか残されていなかったのです。
『花より男子』のツンデレ男・道明寺のイメージが強い松潤ですが、本作ではオドオドした頼りない男として登場。しかし、そこは嵐の松潤、スターオーラが輝き、キャラは地味でも存在感はバッチリで、冴えない男のはずなのにキュートな真緒とくっつく設定も違和感なくすんなり見られます。
上野樹里は、のだめのイメージが強烈でしたが、もともと実力派の女優ゆえに、謎を秘めた不思議な女性・真緒を軽やかに演じています。この映画は、上野樹里の新境地と言われているほどです。
原作は越谷オサムの同名小説。「女子が男子に読んでほしい恋愛小説 №1」というキャッチコピーで多くの女子の心を掴み、70万部のベストセラーとなった小説です。越谷さんは最初「映画に満足できなかったら、結局、映画に自作をすべて委ねた自分のマヌケさに嫌でも気づかされてしまうけど、映画が傑作になったら、原作者が霞んでしまうかも」と、心配になったそうです。そこで、映画がどんな結果になっても自分の自尊心が守られる言い訳を考えたとか。
それは、
「映画がダメだったら “原作の足元にも及ばなかったな” 、期待以上の出来栄えだったら “原作のおかげだな” という言葉を用意。そして初号試写に臨み、上映終了後、あたたかな拍手に満ちる試写室で “原作のおかげだな” と……」つまり、原作者の越谷さんも大満足の出来栄えだったのですね。
この映画のカギは、やはり真緒の秘密なのですが、その秘密を最後までグイグイ引っ張ります。謎が二転三転するようにうまく真実をラストまでかわしていくんですよ。それでも中には、早めに「あれ?」と真相のヒントに気付く人がいるかもしれませんが、それでも「違うかな~」と気持ちが揺れたりするんですよね。松本潤氏も
「最初に脚本を読んだときは、ファンタジーの要素があるので、架空の世界観で表現されるところもあるのかと思ったら、ファンタジーがウソに見えないリアルさで描かれていました」
と語っています。スイートな大人の童話という感じでしょうか。
また浩介と真緒のキラキラカップルのデートコース、江の島参道、新江ノ島水族館、龍恋の鐘など、陽だまり気分でデートできそうですよ。
松潤ファンだけでなく、「かわいいラブストーリーが見たい」という人はぜひ! 映画を見た後、彼や友達と江の島に繰り出すのもいいかもしれませんね!
(映画ライター=斎藤香)
『陽だまりの彼女』
2013年10月12日公開
監督: 三木孝浩
出演: 松本潤、上野樹里、玉山鉄二、大倉孝二、谷村美月、菅田将暉、北村匠海、葵わかな、小籔千豊、西田尚美、とよた真帆、木内みどり、塩見三省、夏木マリほか
(C)2013「陽だまりの彼女」製作委員会