本日発売された美少女戦士セーラームーン「変身コンパクトミラー」のガシャポン商品が既に売り切れ続出とネット上でウワサされるなか、どうしても諦めきれなかった記者(める)は、編集部に取材だとウソをついてオフィス脱出に成功。シャコシャコシャコシャコと猛スピードで自転車を走らせ、目的地のヨドバシ新宿西口のホビー館へ向かったのでした。
到着するも、どこにもセーラームーンのガシャポンらしきものは見当たらない。ファンが多数押しかけているのでは? という予想も大ハズレし、ガシャポンフロアーには泣き叫ぶ幼児と必死になだめる母親、学生らしき人が2〜3うろついているのみ。
たとえ完売したにしても何の形跡もないのは、いったいどういうこと? ぜんぶガセネタだったりして!
近くにいたスタッフに聞いてみると、瞬く間に申し訳なさそうな顔をしてこう教えてくれたのでした。
「開店前にたくさんの……おそらく100名近くの行列ができまして、開店と同時に商品もなくなった感じです。ガシャポンも外させていただきました」
な、なんか、強奪にでも入られたかのようなニュアンスだわ。
【やっぱり完売していた!】
ウワサは本当だったか。まあ、仕方ないわ。恐るべしセーラームーンファン。……と自分をなだめたつもりが、ふと疑問がよぎる。
みんな学校とか仕事とかどうしてんの? まさかとは思うけれど、どこぞのケシカラン大人が高値で転売しようと、ファンを差し置いて大量買してるんじゃないでしょうね。そんなやついたら許すまじ!
【つぎの発売は?】
己のことを棚に置いて、ゲットできなかった怒りを誰かのせいにする大人気ない自分にふと嫌気が差す。そだ、気を取り直して、次に販売されるのはいつかせめて聞いておきましょうかね。どうなんです?
「あいにく次回いつ販売されるかは未定です」
……。せっかく自転車を飛ばして来たのに、いともあっさりと目的を失ってしまった。あたしゃもう、ハトが豆鉄砲でもくらった顔でもするしかありませんでしたよ。
【このままじゃ帰れない】
取材とかこつけてオフィスを抜けだしてきたのに、手ぶらじゃ帰れない。仕方がない。ほかのガシャポンでもやってみるか。そう決意すると、久しぶりのガシャポンを前に、ちょっと浮き立つ。ルンルン♪
「こびとづかん」
まず目についたのは、「こびとづかん」のガシャポン。珍妙で気味悪いところが若者にウケているという、いかにも我らジャパニーズが生み出しそうなキャラです。セーラームーングッズに使う予定だった300円のうちの200円を投入して、ガシャリ……と。
フィギュアでも出てくるのかとおもいきや、なんと出てきたのは……。
…………。
なんか、やたら小さいメモ帳。しかもなにこれ、なんのキャラ? キノコの菌か何かかしら。茶色くてひょろひょろの、すっとんきょうな顔の不気味なイラストが描かれています。……いらね。
「佐川男子」
なんだかモヤモヤした気分でいると、次に目についたのは女子たちに大ウケという佐川男子のフィギュア。わーい! これ欲しかったんだぁ〜!!
今度はランチ代にしようとおもっていた、わずかなお小遣いのなかから思い切って200円を投入。ガシャッ!
お、これはちょっとうれしいのが出てきたっぽい。メモ帳でもシールでもない、フィギュアがでてきたーっ!!
爽やかな笑顔を作った佐川青年フィギュアは、なぜかこちらに向けて鏡を持ち、「お客様の笑顔がボクのやりがいです!」とセリフが書かれた吹き出しを背負っているよ。
遠回しに己の仏頂面でも見て反省しろってことかしら。まあいいわ。鏡が小さくてめるのデカイ面が完全に見切れちゃうけれど、なんとか使えるから良しとしてあげる。
「スマートキッス」
さて、佐川男子のおかげでちょっぴりルンルン気分でいると、これまた気になっていたガシャポンを発見! スマホのボタン部分につけるアイテムで、「女性のぷるるんとした唇」の形をしています。さっきは佐川男子で胸キュンだったし、今度は女子らしさでも磨くか。
見ればどれもこれもお美しい唇ばかり。チェリーやピーチの色をした、おちょぼ口やアヒル口など様々な唇があるじゃないの。
わーん、どれもこれもカワイイから何でもいい〜!! と、このときはまだ、自分が油断しているということに気付かなかったのです。なけなしの200円を入れて、ガシャ……。「おねだり唇」でてこーい!
っひいぃ……!!
出てきたのは、おねだり唇なんかじゃない、チェリーでもピーチでもなくプックリプルルンからも縁遠い、紫色でほっそりした幸が薄そうな唇……。まるで「ちびまるこちゃん」の登場人物、藤木くんみたいな唇じゃないの。これって完全にハズレが当たったんじゃ……。
名称には「男の唇(ツヤなし)」とあります。はて、長らく男の唇を間近で見てないけれど、こんなんだったかしら。なんだか夢も希望もないじゃないの。
いよいよ寂しい気持ちになり、私はその場を後にしたのでした。さっさと帰ればよかった……後悔先に立たず。
(写真・文=メル凛子 )
▼こうして、めるのiPhoneに君臨することになった「藤木の唇」
いまはまだ藤木とキスする気にはなれない
▼念のため近くにあったガシャポン館に行ってみた
▼やっぱり完売してました