「アートって意味分かんない!」
「美術館って謎な職場だけど、内部構成はどうなってんの?」
「美大ってどういうところ?」
筆者、よく上記のような質問を頂きます。
そこで! 今回は、元・美術業界の人間である筆者がTwitterで募った疑問・質問をもとに、超超超初級の「アートに関する豆知識」をお伝えいたします! 美術業界の人からのバッシングも恐れず書きました。「カユいところに手が届く」こと間違いなし!! ……たぶん。
(注意:なかには筆者の偏った考えも含まれているため、項目によっては参考程度にとどめておくことをおススメいたします)
【美術館のイスに座っている学芸員(※)さんって、退屈じゃないんですか?】
これは一番よく聞かれるので、多くの方が誤解されていると思うのですが、「美術館のイスに座っている」のは学芸員ではありません! たいていの場合はアルバイトさんです。ちなみに、筆者も美大生時代に美術館でイスに座って場内を監視するアルバイトをしていました。が、3日目ぐらいから退屈になってきて、よく居眠りしていました。もちろん怒られました。
※美術館の職員。美術展の企画、展示、広報、作品の管理などを行う。雑務が多いことから、当人たちは自虐的に「雑芸員」と称することもある。
【「美大」とか「芸大」とか、どっちが正しい言い方なの?】
関東の場合ですが「芸大」とは、日本で唯一の国立の美術大学で超難関校な「東京藝術大学」を指し、「美大」とは「多摩美術大学(タマビ)」「武蔵野美術大学(ムサビ)」「女子美術大学(女子美)」などを指します。なので、筆者は「ムサビ出身です」と言って「芸大出てるんですね!」と返されると、「あ……はい」と言いながら心の中で天下の芸大さまに謝罪しています。
【中世の外国の絵画って、なんで裸婦が多いの?】
実は、19世紀ごろまでの、主にパリの作家の絵画の裸婦にはポルノグラフィの要素が多く含まれていました。しかし、キリスト教の教えの観点から、「神話的な要素がないと裸婦描いちゃダメー!><」という暗黙の了解があり、“高貴”な鑑賞者はポルノグラフィだと思いながらも「すばらしい芸術作品だ!」と堂々とポルノを見る機会を与えられていたのです。
ちなみに、「解剖図」も同じでした。全裸でハラワタ出しているのに笑顔でウィンクしている女性の解剖図とかもあって、これで欲情できるとか相当だな、といった感じで、当時の性事情の複雑さを推し量ることができます。
話を戻しますが、当時の “高貴” な鑑賞者の方々に「気取ってんなバーカ!」と言いたげに《草上の昼食》という、美術史のエポックメイキングとなった作品を発表したのが有名なエドゥアール・マネです。
《草上の昼食》が美術史のエポックメイキングとなった理由は、「サロン」という非常にお上品な展覧会(でも神話の“言い訳”をつかってポルノを展示していた)に同作品を出品したことによって、当時のパリの男性たちの変態的な性的趣向を暴露したことに端をほっします。
もちろん、“ 高貴 ” な方々は大激怒。《草上の昼食》は発禁となりますが、その後「落選展」という、当時の絵画において「これ描いちゃったらマジヤバいから!」といった作品を集めた展覧会に出品されました。
その結果、当時の若者たちの間で「落選展の方がスゲーもんが見られるぞ!」と話題になり、後の画家たちにも大きな影響を与えることとなったのです。
余談ですが、「マネ」と「モネ」の区別がつかない方は多いのではないでしょうか?
モネは《睡蓮》などで有名な画家ですが、マネに影響を受けたひとりなので「マネはモネに真似(マネ)された」と覚えるとよいです。
なお、この項は諸説あるなかの一説でありますが、ふたりの我が師に同じことを教わったので「は? 何言ってんの?」という苦情は受け付けませ……受け付けます。
【高卒でかなり歳いってるんですけど、美大行きたいです。不可能でしょうか?/美大って絵心ないと行けないんですか?】
私と同じゼミに、何年も勤めていた会社を辞め、40代で美大に入った方がいました。なので、不可能ではないです。美大は学力に重点は置いてない場合が多いですし……。
あと、絵心がなくても美大には入れます。いや、多少はあった方がイイですが、いくつかの美大には、美術史やその他の研究をするための、文字を書くことが主体の学科もあるので、そこを狙えばいいかも知れません。
【アートってなんなんですか?】
直球!!!!! ……真面目に答えますと、分からん。……いや、筆者の中に漠然とした答えはありますが、各々の中に「答え」があって、それがぶつかり合うからややこしくなる。ことネット上に関しては特に。だから、好きなように解釈したらいいと思います。
最後の投げやり感がヒドイですが、今回はここまでで。
締めの言葉が思いつきません。あ、お酒飲みたいです。
調査・執筆・画像=シマヅ(c)Pouch