みなさんは、「女性専用車両」を利用していますか? 痴漢回避など、女性を守る目的から導入されたこの制度ですが、実際にこれを利用してみると、結構色々なトラブルがあるようなんです。まぁ、女の花園ですからね、なんとなく察しはつきますが……。
といわけで今回は、記者の周りの実例を紹介しながら、女性専用車両について検証してみたいと思います。
ケース1) 七海さん(仮名)12歳 中学1年生
私立中学に入学し、電車通学が始まった。満員電車は怖いので、女性専用車両を利用。友人とドア横スペースに立っていたところ、後から乗車して来たOL女性に突き飛ばされて場所を奪われた。12年間生きてきて、誰かに本気で突き飛ばされたのは初めて。ドア横の寄りかかれるスペースはそのOLの定位置だったらしい。
ケース2)優香さん(仮名)21歳 学生
女性専用車両の席取りは、通常の男女混合車両のそれよりも熾烈。必死さ極まりない上に、最後はにらみ合い。怖いのでもう乗りません、とのこと。
ケース3)雄介さん(仮名)37歳 会社員
電車に駆け込んだら、偶然女性専用車両だった。次の駅に着くまで、周りの人にジロジロ見られたり、舌打ちされたり。隣の車両に移動したかったけど、車内を歩き回れる雰囲気でもなくじっと耐え忍んだ。法律的には、問題ないはずなんだけど、何駅ぶんも浴びつづけた「こいつ、なにやっとんねん!」的な眼差しは、かなりツラかった。
ケース4)桜子さん(通称)27歳 オネエ
ちゃんと女性になって乗車したのに、クスクス笑われた。女装専用車両が欲しい。
女性専用車両は、99パーセント女子しかいない密閉空間。(最後の方はさておき)陰湿な実態にいやな思いをすることも多いのかもしれませんね。異性の目がない時の女性の行動が怖い、というのは記者も重々承知していましたが……。
ちなみに、男性の女性専用車両乗車について国土交通省は、「男性の乗車に対しては禁止する法的根拠はなく、男性利用者の協力のもとに成り立っているもの」という見解を出しています。つまり、男性が女性専用車両に乗ってはいけないという決まりはないということ。
この制度はあくまで男性の理解のもとに成り立っているものなので、「うっかり乗ってしまった」男性に対して、もう少し温かい目で見てあげてもいいんじゃないかと言う気がします。
……と、いろいろコワイ女性専用車両ではありますが、女性だけの車両が存在するというのは本当にありがたいことです。OLに突き飛ばされようが、席取りで勝ってにらまれようが、うっかり迷い込んだ子羊のようなオッサンが乗っていようが、女性専用車両に乗っている限り、痴漢に遭う確率は限りなくゼロに近くなるんですもの。
ちょっと不便な車両に設置されていることが多いのと、女子ワールド恐怖症なのとで、記者は率先して女性専用車両を利用することはありませんが、いざとなったらあそこがある! という安心感は、計り知れないものがあります。
「朝の混雑時に呑気な車両設けんな」とか「自意識過剰じゃないか」とか、男性陣にも言いたいことはあるとは思いますが、ここはひとつご理解いただき、女性のお守り的存在として、女性専用車両がこれからも存続してくれることを願っています。乗車するのは、やっぱりちょっとコワイけど。
撮影・執筆=中野麦子(c) Pouch