世界中で増加し続ける人口。このままでは、そう遠くない未来に、食料がなくなってしまうかもしれない。そんな可能性も、正直否めません。
「Iceland Academy of the Arts(アイスランド・アカデミー・オブ・アーツ)」にてプロダクトデザインを学んでいたという、アイスランド在住のBú I Bjarmar Að alsteinssonさん。彼が卒業制作として発案・設計したのが、起こり得る食糧危機に備えた逸品、「食用昆虫飼育装置」です。
彼曰く、ここで飼育された幼虫たちを加工してパテやデザートを作ってみたらしいのですが……味はチキンに似ているのだそう。チキン……マジか……。
2013年、「国連食糧農業機関」が発表した報告書「Edible insects Future prospects for food and feed security」。それによれば、今後我々人類は食物を栽培する上で新しい方法を取る必要があり、未来の食糧候補として有力なのが昆虫である、とのこと。
これに注目したAð alsteinssonさんは、幼虫に食品廃棄物を食べさせてタンパク質・脂肪分豊富な状態へと飼育、それらを人間が食べる、というサイクルを思いつきました。
幼虫の一部は子供を産ませるべく食べずに残しておき、幼虫が作り出す栄養豊富な土壌を利用してハーブなど植物をも栽培できるといった、プラスアルファの要素も。さらには加工した食品を冷やしておくための冷蔵庫も完備、それが稼働する際に発生する熱が幼虫飼育に一役買うといったように、細部に渡って循環、そしてまた循環。う~ん、実に無駄がないですねぇ。
ちなみに起用された昆虫は、日本にも生息しているという「アメリカミズアブ」。理由は、成虫になると口から食物を摂取する機能を失うためエサを探してあちこち飛び回ることがない、そのため病原菌の媒体になる可能性が極めて低いから、なのだそうです。
「幼虫そのものにハッキリとした味はないので、スパイスなど味付けの工夫次第で食べやすくなるでしょう。ココナッツ・チョコレートのデザートは特にお気にいり、子供たちも大好きな1品です」
……う、う~ん。時代の流れからして、生まれるべくして生まれたアイデアなのでしょうが、いかんせん先入観が邪魔をするわ……。成虫になる前、幼虫の状態で完全加工、よって食用になった際の見た目にグロテスクさはありませんが、原料が虫だと思うとどうしても躊躇しちゃうよねぇ……。
果たして人類の救世主となり得るのか否か、今後の展開に要注目ですね。
参考元:the FlyFactory
執筆=田端あんじ (c)Pouch
▼ちなみにこの装置、工場やレストランに導入することを前提にして作られたもの、家庭用ではないそうです☆
▼この小さい生命たちが私たちの食料になるかもしれないとは…
▼構想図