英語? エイゴ? なんかちょっと酒のツマミっぽい響きでステキね! で、英語って何?
……とまではいきませんが、英語はほぼ分からない記者(私)。しかし、日本国内でも外国の方と知り合う機会が珍しいものではなくなった現代。
先日、ひょんなことから知り合ったイギリス系アメリカ人の方が海苔巻きを美味しそうに食べているのを見て
「海藻お好きなんですか? 勝手なイメージで、外国の方って海藻類は苦手なのかと思ってました」
と話しかけたところ
「私は日本に住んで長いので海苔も美味しいと思えるようになりました。アメリカのお寿司屋さんでは、だいたいコンブとかワカメとか海苔とかって、ローマ字で『Nori』とか日本語表記をしているんですよ。なぜかと言うと…」
この後、外国の方が寿司に対してほぼ100%嫌悪感を覚えるらしい、衝撃の「NGワード」を教えてもらった記者!!!
ということで! 「お寿司大好きな外国の方を一瞬でドン引きさせてしまう『NGワード』は本当にNGなのか?」を検証するため、アメリカ出身の殿方に実際にお寿司を食べていただいている最中に言ってみました! その結果は……激怒される覚悟で挑んだ甲斐がありました……!
今回ご協力いただいたのは、お笑い芸人として活躍しているアイクさん。とても日本語が堪能、ということで記者はひと安心。アイクさんと恵比寿で落ち合い、さっそくお寿司屋さん(回るトコ)へ。
席について早々、「コーラ飲みたいです。コーラは絶対にある!」と言ってコーラを注文するアイクさん。が、店員さんから「ありません」と言われて「ないんかい!」とツッコむも、少し悲しそうな表情。そんな彼を尻目に、記者(私)はビールを注文。
「僕は好きなモノを飲めないのに、この人(記者)は構わず自分の好きなものを飲んでいる……日本人は空気を読むんじゃないのか!?」と言いたそうな目で記者を見るアイクさん。残念ながら、日本にも空気読めない人はいるのだ。
■本題の寿司(海苔)についての検証開始
「お寿司、はじめは何を頼みますか?」とアイクさんに尋ねる記者。「じゃあ、ウニ」とアイクさん。いきなり高いやつをお選びになったことで記者は即座に財布の中身を確認し、「悪いこと(好きなものが飲めない人の前で好きなもの飲むなど)をすると因果応報というヤツが訪れるんだ」と、なんか適当に悟りつつ自分は寿司を食べず最初のビール1杯で我慢することに…。
【1皿目】ウニ軍艦
「美味しいですねー!! 海苔の風味、素晴らしいね。こんなに美味しく海苔を食べられて日本にきて本当に良かったです!!!」
とアイクさん。そう言っていただいてありがたいです。が、数分後に訪れるかも知れない修羅場への不安が倍増。
【2皿目】イクラ軍艦
「次はイクラ! イクラ食べたい! イクラ大好き! 食べたい食べたい!」
とアイクさん。
ここで、「え?」と思った記者。なぜかと言うと、以前ロシア人に「イクラは食べ物ではない! 日本人は頭がオカシイ!」と言われたことがあり、それをアイクさんに話したら
「そうそうそう! ロシアに限らず、外国人は絶対にイクラは食べないよ! ありえない! ホントありえない! イクラありえない!!!!」
えっ…? じゃあなんでイクラ頼んだんですか? と尋ねたら
「僕は7年日本に住んでるから、今はさすがに食べられるようになりました!」
とのこと。ちなみに、日本に来た当初は「うわーイクラめっちゃ食ってるー! これ何? これ何? みんなで罰ゲーム?」と驚いたようです。
「美味しそうやなー! イクラ! サムライみたいな食べ方していいですか?」と言って箸を使わず素手で寿司をつかみ口に入れるアイクさん。
「うーん……! 酢飯、イクラ、そして海苔が一体になってこのソリューションが~」と、長々とよく分からないことを仰りながら幸せそうにお寿司を食べるアイクさん。先程よりも不安マシマシであります…。
【3皿目】カニと味噌の軍艦(おそらく正式名称ではありません)
やってきましたファイナルステージ。
「いいですねぇー! これ食べたことないよ! 超おいしそう!」
とアイクさん。ワクワクした表情を浮かべながらいざ食べようとしたところで、肝心の「NGワード」を、心を鬼にして伝えた記者(私)。
「アイクさん、海苔って英語だとシーウィード(seaweed)らしいですよ」
今まで美味しそうにお寿司を食べていた手が止まり、眉間にシワを寄せるアイクさん。
「なんでそんなことを言うんだ!」と激おこ!!!!
しかし、さすが大人である。アイクさんは、記者に『seaweed』について親切に解説してくれました。
「『weed(ウィード)』という単語は、あまり歓迎されない種類の植物を指すんだよ。例えば、庭でキレイな花を育てているのに、ウィードがきたら、花は枯れちゃう。ウィードはウィルスみたいにイヤなものなんだ。だから、シーウィードは『海のウィルス』って感覚です。だから、『海のウィルス!? そんなもん食えるか!』ってなるわけです。
でも、ニューヨークやシアトルのような都会は日本の寿司の文化がある程度は根付いているので、皆ではないですけど、寿司も海苔も食べるようになりました。都会ではないところに住んでる人は『シーウィード!? え、食べるの!?』ってビックリすると思う。ま、僕はニューヨーク生まれシアトル育ちだから平気だけどね! ってか、海苔よりもイクラを食べられない外国人の方が多いから、そっちを記事にした方がよかったんじゃない?」
じゃあさっき怒らなくてもよかったのに……しかもネタにまでダメだしされるとは……。
【結論】
外国人をお寿司屋さんに連れて行ったら海苔をSeaweed(シーウィード)と言うのは避けた方がイイ! あと、日本初心者にはイクラを勧めるのもダメ!
***
店を出た後、アイクさんに「お詫びにいまから居酒屋行きませんか?」と提案したら「今日はホームパーティがあるから」と言い残して去っていきました……。
企画協力:アイク(超新塾)
取材・撮影・執筆=シマヅ (c)Pouch