先日、「【かる~く閲覧注意】見ないほうがいいかも! フライトアテンダントが絶対に教えてくれない「知っちゃうとコワい飛行機のウワサ13個」という記事を公開しました。
この記事は、海外サイトに掲載されていた情報をもとにしたもの。今まで知らなかったコワいウワサがいっぱいで、飛行機好きの記者(私)としては軽くパニック。読者の皆さんから「ほとんど間違っている」という指摘をいただいたのですが、「常識ばっかり」という意見もあり、謎は深まるばかり。
「本当のところはどうなの!? 真相を確認して安心して飛行機に乗りたいよ」と思ったので、日系航空会社のパイロット、元CA、そのほか航空会社の方々に協力を依頼して、真相解明をはかることにしました。
【ウワサ その1】
「パイロットは飛行時間のほとんどの時間、寝ている。しかも機長と副操縦士が同時に寝ていることもある」
→ ウソ!
まるで操縦席でパイロットが寝ているようなイメージを持つウワサですが、コックピットで寝ることは絶対にありません。日系航空会社のパイロットの方によると、操縦席には常に操縦席には機長と副操縦士が座っています。航空会社と路線によりますが、長距離で体力的にずっと起きたまま操縦することが難しい路線では、操縦は3人または4人体制。順番にクルーバンクと呼ばれる操縦席の後ろのスペースで仮眠をとります。
ANA広報部によると、3人体制の場合にも離着陸時は全員が起きて乗務に当たっているとのこと。仮眠をとるのはベストな状態で乗務に当たるためなのです。
【ウワサ その2】
「緊急時に頭上から降りてくる酸素マスクの使用可能時間は15分程度」
→ウソ!
酸素マスクの使用可能時間は機体と路線によります。ANA広報部によると、ボーイング787では60分。その他は国際線では22分、国内線では12分。JAL広報部でも同様に酸素供給時間は機種によって異なり、12分と22分の2種類あるとのこと。でもどちらの航空会社も安全を十分に考えての対応です。
日系航空会社のパイロットの方によると、高度1万メートル程度を飛行中に機内の与圧が下がった場合にはマスクが降りてきますが、高度3000メートル程度まで降りればマスクは不要。飛行機は分速2000メートルくらいで降下できるので高度1万メートルで運行中に緊急降下をする場合、酸素マスクは3〜5分で十分足りるんだとか。そんなにすごい勢いで緊急降下をするならば、ジェットコースターのように体に重力を感じそうですが、そんなこともないそうです。ほっとしました。
【ウワサ その3】
「夜間の着陸時に室内ライトを消灯する本当の理由は、緊急時に備えて目を暗さに慣らすためである」
→ホント!
JAL広報部によると、万一の緊急脱出などに備えてお客様の目を暗さに慣らすために減灯をしているとのこと。とはいえ、読書灯をしようしていても問題はないそうです。ただ、機内照明を減灯することは法律等で決まっているわけではなく、航空会社によって対応は違うと教えてくれました。
ANA広報部では、減灯は特に決まりを設けていないそうです。緊急時には機内に非常灯が点くので、たとえ機内が消灯しているときに読書灯を使用していても問題はないとのこと。よかったです!
【ウワサ その4】
「ペットが搭乗する際には、うるさい環境で待たされることがある」
→少なくとも国内系エアラインではウソ!
JAL広報部によると、ペットの輸送に関しては、獣医師などの専門家のアドバイスを得て、安全に輸送するための対策を講じているとのこと。ペットを預けてから航空機に搭載するまで、また、航空機より取卸してから引き渡される間は、可能な限り空調の利いた屋内で保管するなど、ペットの環境保全につとめているんですって。ペットが搭載される貨物室の温度は客室と同様に保たれているし、飛行中、または離発着時は、機械操作音や地上車両の音、さらに客室と同様に風切り音(地上では聞かない音)が聞こえるものの、騒音というほどではないそうです。
【ウワサ その5】
「飛行機にはしょっちゅう雷が落ちていて、機体に影響が起きる場合もある」
→雷が落ちるのはホント!
ただし、「しょっちゅう」ではないし、機体に影響があっても問題は発生しません。日系航空会社のパイロットの方によると「雷が飛行機に落ちたことは何度かある。雷が地上に落ちる時のようにピシャンという音がして落ちる」とおっしゃっていました。ただし「しょっちゅう」というほど落ちるわけではない模様。お二人の元CAに聞いたところ、経験したことがないと言っていました。
最近の飛行機にはスタティック・ディスチャージャー(静電放電装置)をつけるなど雷が極力落ちないように計算されているとのこと。また飛行機には、一部の計器に異常が発生してもフライトに支障を来すことがないように、二重三重に対策がとられているんだとか。
「本当に落雷で墜落することは現在ではないのか」と日系航空会社のパイロットの方にしつこく聞いたところ、「ない!」という頼もしい答え。そもそも雷は高度の低いところでしか発生しないため、万が一飛行機が緊急事態になっても安全に降りることができるそうです。よかった……。
【ウワサ その6】
「悪天候の着陸時、パイロットはあえて飛行機を荒っぽく着陸させる」
→ホント!
ただし、単に操縦が下手な場合もあります。日系航空会社のパイロットの方によると「雨の日の車の運転と同じで、飛行機も雨の日や滑走路が凍っている日、横風の日など、悪天候の日には止まりにくいのです。多少荒っぽくても、滑走路からオーバーランして止まるよりもいいでしょう?」とのこと。もちろん着陸をするときには安全が十分に確認された状況で行なうそうです。
荒っぽく着陸すると摩擦が起こって止まりやすくなるのは、車でキツくブレーキを踏むと止まりやすくなるのと同じ。とはいえ、単に操縦が下手で着陸が荒い場合もあるとのことでした。理由があるなら、荒っぽく着陸しても文句は言わないです!
いかがでしょうか。ウワサが本当でも異常は起きないとわかると安心できますね。後編は「機内のトイレの鍵は外から開くのか?」「暑い日の離陸が大変って本当か?」等の真相を解明します!
取材協力=日系航空会社のパイロットの方、元CAの方、ANA広報部、JAL広報部
取材・執筆=FelixSayaka/ 画像=Pouch (c) Pouch