アイスランドが生んだミュージシャンと聞いてまず思い浮かぶのは、ビョーク(Björk)にシガーロス(Sigur Rós)、ムーム(múm)など。世界的にも有名な彼らですし、おそらく、そんな方が大半かと思われます。
本日みなさんにご紹介するのは、今挙げた面々がこぞって大絶賛、敬意と親しみ、称賛を込めて「Grandma Lo-Fi(グランマ・ローファイ)」と呼んだあるミュージシャンの存在。
1930年にデンマークで生まれ、その後ナチス・ドイツの戦火を経験。ブラジルに住んだこともあるけれど、晩年はアイスランド・レイキャビクで過ごしたという彼女の名は、シグリドゥル・ニールスドッティルさん。2011年、享年81歳で息をひきとられた、伝説の “おばあちゃん” ミュージシャンです。
【70歳から制作活動を開始!】
海外サイト「NOISEY」によれば、彼女が音楽制作を本格的に始めたのは、70歳 (!)のとき。幼少期にピアノを習っていたこともあり、まったくの音楽ド素人ではなかった彼女は、コンパクトなシンセサイザー1台と身の回りにある生活道具。それから自分の歌声を用いて、多重録音を始めます。
【制作から流通まで自分で行うパワフルさ】
初めは家族や友人に向けてのみ音楽を奏でていた彼女でしたが、やがて曲をCDにまとめ、街のレコード・ショップにそれらを卸して販売するように。なにからなにまで自分ひとりで行ったこの行動力、いやはや実にあっぱれでございます。このパワフルさ、見習いたいっ!
【7年で59枚のアルバムを発表&687曲を作曲!!】
店頭に並ぶや否や、すぐに話題となったシグリドゥルさんの作品。ミュージシャンやジャーナリストによる高い評価を受け、メディアにもどんどん取り上げられるようになった彼女は、70歳から亡くなる数年前までの実働7年間で計59枚のアルバムを発表。作曲した楽曲はなんと、687曲にもおよびました。
【彼女を追ったドキュメンタリーDVD&CDが発売されるよ~】
知る人ぞ知るDIYおばあちゃんミュージシャン、シグリドゥルさん。彼女を追ったドキュメンタリーフィルムDVD&CD「グランマ・ローファイ」が、来る3月4日、AFTERHOURSよりリリースされます。
【使用されている楽曲はすべてシグリドゥルさん作品】
劇中で使用されているのはすべて、彼女の楽曲。ヨーロッパを中心に数多くの映画祭で上演され、賞も6つ獲得しているという同作は、一見の価値ありです。
【アナログ&手作り感満載なところが最大の魅力なのだ♪】
ちなみに現在、海外サイト「NOISEY」においてシグリドゥルさんの楽曲を視聴することができるのですが、これがまたいいんだわ~。カセットテープの音やラジオ、昔のファミコンみたいな音源を使っていて、超アナログかつ手作り感満載。だからこそ生まれるぬくもり、そして可愛らしい彼女の歌声は、聴く者すべてを笑顔にする圧倒的な力があるのですよ。
音を楽しむと書いて、音楽。思うまま、自由に表現すればそれでよし! そのことを改めて感じさせてくれるシグリドゥルさんの楽曲を、あなたも今すぐ、体感してみて。
参照元:NOISEY 、AFTERHOURS
執筆=田端あんじ (c)Pouch