阿佐ヶ谷にある、夜6時半開店の喫茶店「よるのひるね」。
名前からして魅惑的なこのお店、昭和30年代に建てられたバーの面影をそのまま残しているという。しかも店内にはところ狭しとものすごい数の漫画や画集などが置かれていて……。
こう聞いて、興味を惹かれるか否か? 少なくとも私(記者)は迷うことなくイエス!! 知人から「面白いカフェがあるよ」と噂を聞き、出かけてみることに。
【昭和テイストあふれる外観】
JR中央線阿佐ヶ谷駅北口を出て徒歩30秒(!)。細い路地に居酒屋さんやバーなどがひしめき合う一角に、可愛らしいタツノオトシゴのイラストともに「よるのひるね」と書かれた看板を発見。もうね、外観からしてザ・昭和! 外壁となっているレンガ、古めかしい外灯……なんだか夜の気配とあいまって江戸川乱歩の小説の中に迷い込んだみたい。さすが元はバーだったところをそのまま使っているだけあります。
【店内はもっとディープだった】
中に入っても、その印象は変わることなく……というか、店内はもっともっと色濃くて。古本バーでもあるだけに、書棚になど収まりきらず、窓際に、カウンターに、いたるところに本、本、本! ジャンルも年代も多種多様なものすごい数の本が雑然と置かれています。これが店内のレトロな雰囲気と妙にマッチして、居心地のよさすら醸し出しているから不思議。もちろん、これらの本は自由に手にとってOK。コーヒーやお酒を飲みながら、ゆっくりと読みふけることも。
【店主・門田さんにお話をうかがってみた】
「よるのひるね」店主は門田さんという男性。「ここは昭和35年に建てられたので、もう築55年以上になります。以前はマダムがいるバーだったところを外観はそのままに、内装に手を加え2002年にオープンしました」とのこと。置いてある本は主に、漫画や絵本、図鑑など。短時間で一度に読めるものを、と思って選んでいるといいます。実は門田さん、昼間は青林工藝舎(漫画雑誌『ガロ』を出していた出版社)などの営業代行のお仕事も。そのため、店内にはガロ系の漫画作品も多数見られます。
お店は古本カフェ・バーだけでなくイベントスペースとしての顔も。ラインナップがこれまたユニークで、ワークショップやライブなどが月13回ほど開催されており、人気イベント「昆虫食のひるべ」に杉作J太郎さんによる「夜の勉強会」、古泉智浩さん主宰の短編映画ワークショップと上映会……などさまざま。
読書しながらぼーっと寛いだり、昭和の空気感にとことん浸ったり。こんな雰囲気のカフェ・バーはちょっと貴重な存在かも。慌ただしい日常からエスケープしたい夜にぜひどうぞ。きっと素敵なひとときが過ごせるはず。
■「よるのひるね」
住所/東京都杉並区阿佐谷北2-13-4 一階
営業時間/18:30~26:00(ラストオーダー25:30)
定休日/火曜日
参照元:よるのひるね
取材・撮影・執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch
▼夜のみ営業の喫茶店。店内にさまざまな本がひしめきあう古本カフェ・バーでもあります
▼書棚一例。ラインナップにピンと来た方はぜひ訪れてみて
▼店主の門田さんにオススメの本を尋ねてみた。こちらは昭和12年に発売された絵本の復刻版「たべるトンちゃん」
▼「劇画」という名を広めた漫画家・辰巳ヨシヒロさんはヨーロッパでも高い評価を誇る
▼このイラスト、雑誌などで見たことあるよね!? イラストレーターの腹肉ツヤ子さんは店主・門田さんの奥様
▼喫茶店なので料理やアルコールメニューも豊富。「屋久島のさばぶし」など珍しいものも
▼店主・門田さん。ゆっくりした時間を過ごしてほしいとのこと
▼阿佐ヶ谷駅北口から徒歩30秒。この看板と外観が目印!