[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』(2015年11月20日公開)です。2012年から毎年新作が制作されてきた『ハンガー・ゲーム』、シリーズ4作目にしてついに完結します! 前編『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』の続きとなる、後編『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』。主人公・カットニスの長い闘いの旅、結末はどうなるのでしょうか?
【物語】
独裁国家の大統領スノー(ドナルド・サザーランド)に反旗を翻したカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、第13区の反乱軍とともにスノーの暗殺作戦を決行。しかし、敵の数々のトラップに苦戦し、カットニスらは想像以上の壮絶な闘いを余儀なくされます。
カットニスのカリスマ性を脅威に思い、何度も抹殺しようとしていたスノー。ついに独裁国家とカットニスたち反乱軍は、これまでで一番激しい「ハンガー・ゲーム」へと突入していくのです。
【原作も映画も世界的ヒット!】
スーザン・コリンズ著の同名原作は世界で8700万部の大ヒット! 映画も負けず劣らず、2013年に公開された『ハンガー・ゲーム2』は、あの『アイアンマン3』『アナと雪の女王』を抜いて全米年間興収ランキング1位を記録。
その完結編となる『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』にも期待が高まります。日米同時公開なので、日米同時にトップを取れたら凄いことです! もちろん、その可能性は十分にあります。前作の『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』は、後編への橋渡し的な役割だったので、どちらかといえばドラマ性が高かったかもしれません。でも今回は「スノー VS カットニス」の図式が色濃く出ている作品です。
また、反乱軍が拡大し、強さを増しているので、以前のように独裁国家の狂気が勝るということはなく、もうガチでタイマンはれるレベルになっているわけですよ。それでも想像できない攻撃やトラップを仕掛けてくるスノー軍団は強敵。カットニスたちの反乱軍がどこまで攻め切れるのかが見ものです。
【ジェニファーが語るカットニス】
ジェニファー・ローレンスは『ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』と、自身が演じたカットニスについてこう語っています。
「カットニスが第13区という新しい環境で自分を立て直さなければならなかったことは、俳優として挑戦だったわ。第12区での勝者が違う環境に置かれ、外に出られないのだから。まったく違う役のように感じたけど、カットニスのような過酷な体験をすれば、誰でも空っぽになってしまうと思うの」
そして「第8区の病院を慰問して、彼女の心に火が着くの。見れば見るほど、カットニスの闘いは自分自身との闘いになっていくのよ」とも語っていたジェニファー。
カットニスの闘いはまったく気が休まるときがなく過酷だけれど、同じくらい出ずっぱりのジェニファーは撮影も大変だったはず。おそらくジェニファーとカットニスは自分との闘いという部分で一致していた。だからカットニスの怒り、悲しみ、情熱がスクリーンを通してリアルに伝わってきたのでしょう。
【アカデミー賞俳優がズラリ!】
『ハンガー・ゲーム』の原作はヤンクアダルト(YA)小説と呼ばれ、児童小説と一般小説の間に位置するもの。同ジャンルでは『トワイライト』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズなどがあります。
映画『ハンガー・ゲーム』シリーズが『ハリー・ポッター』シリーズに負けない成功をおさめたのは、キャスティングの勝利でしょう。ヒロインのカットニスにジェニファー・ローレンスを配したのは大きかった。演技の幅が広く、どんな役でも自分の物にできる実力があり、何しろアカデミー賞女優です。
それに加えて、脇を締める俳優は演技巧者がズラリ。こちらにも実はアカデミー賞俳優が二人。ジュリアン・ムーア(コイン首相)とフィリップ・シーモア・ホフマン(プルターク:ゲームメイカー)がいるのですよ! これだけでも映画の格がグッと上がるというもの。しかし悲しいことに、フィリップ・シーモア・ホフマンはこの映画を最後に、2014年2月に急逝。彼の最後の熱演を脳裏に焼き付けてほしいです。
デート映画、女子会映画、どんな形で見ても楽しい『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』。これまでの作品をDVDで見直して、みんなでスクリーンへGO!という『ハンガー・ゲーム』イベントも楽しいかもしれませんね。
執筆=斎藤 香(C)Pouch
『ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』
2015年11月20日より、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
監督:フランシス・ローレンス
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマン、ドナルド・サザーランドほか
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