Pouch[ポーチ]

広島に送られる千羽鶴は1億円かけて焼却されていた! 資源と人々の善意を無駄にしない「おりづる再生プロジェクト」とは?

2016年5月1日

o

平和への願いを込め、ひとつひとつ作られた “折り鶴” 。

広島のNPO「おりづる広島」のサイトによると、広島平和記念公園には日々、世界中から折り鶴が送られてくるのだそうで、その数はなんと年間約10トン! これまで広島市は年4回、1億円をかけてこれらを焼却してきたそうです。し、知らなかった。

【誰も悪くない、けど……】

平和を願う象徴の折り鶴が、皮肉なことに、結果的に環境問題としてのゴミを生み出しているという現実。そして多くの税金が処理のために費やされていること。人々の気持ちが、行き場の無いまま燃やされてしまうこと。

「おりづる再生プロジェクト」は、こういった現状を少しでもよくしていくためのプロジェクトです。

【折り鶴を再生紙に → 名刺へ】

「おりづる再生プロジェクト」のサイトによると、このプロジェクトのおおまかな流れは下の通りです。

1. 日本や世界各地から届いた折り鶴を「NPOおりづる広島」が回収し、授産施設へに委託
2. そこで選別されたものが、製紙会社で『おりづる再生紙』としてリサイクル
3. それを「株式会社文華堂」が名刺用紙として再利用し、この名刺を販売した利益の一部が「広島市原爆ドーム保存事業基金」へ寄付

【問題を解消し、社会貢献にも】

このプロジェクトによって、焼却に関係する問題が解決するほか、売上金が広島市原爆ドーム保存事業基金に寄付され、平和活動にも貢献できます。

また、折り鶴の選別を請け負うのは、身体障がい者や精神障がい者、家庭の事情で就業や技能取得が困難な人に対し、就労の場や技能取得を手助けする施設とのこと。施設にとっては、このプロジェクトに参加することで、自立支援や社会参加にもつながっています。

【名刺は公式サイトからオーダーできます】

このプロジェクト、そして広島市が抱えていた意外な問題を、今初めて知ったという方はおそらく少なくないことでしょう。「善意が人を苦しめる」事態が起こることは珍しくはないのですが……いろいろと考えさせられますよね。

「おりづる再生名刺」は、公式サイトから注文できます。気になった方はさっそく、チェックしてみてはいかがでしょうか。

参照元:NPOおりづる広島おりづる再生プロジェクト
執筆=田端あんじ (c)Pouch

モバイルバージョンを終了