電子書籍化が進んだこの頃、「街の本屋さんへ行って、本を選んで買うことがすっかり減ってしまった」という方も少なくないことでしょう。
幼い頃から紙の本の質感や手触り、匂いを愛してやまない記者(私)としましては、この現状にちょっぴり寂しさを感じているというのが、正直な気持ち。そんなところにシンガポールから、嬉しいニュースが届きました!
シンガポールにあるインディペンデント(独立系)本屋、いわゆるチェーン店ではない、街の書店「BooksActually」が国内3台目となる “本の自販機” を設置すると発表しました。
【6月中に3台の自販機が登場!】
今年6月3日、「BooksActually」の自販機が、シンガポール国立博物館(National Museum of Singapore)と、オーチャード・ロード沿いにあるシンガポールビジターセンター(Singapore Visitor Centre)に設置されました。
また、3台目がお目見えするのは6月後半で、場所は国立芸術評議会の本部、グッドマーンアーツセンター(Goodman Arts Centre)を予定しているのだとか。
【ローカル出版社から出ている作品がメイン】
海外メディア「Channel News Asia」によると、この自販機に並ぶ本は常時、120冊から150冊。
自販機で取り扱っているのは、シンガポールにあるローカルな出版社や著者による約22タイトルがメインで、置いてある場所によって、その中身は少しずつ違っているようです。
たとえば、シンガポール国立博物館にある自販機には、小説や詩など国内文学作品を中心としたラインナップ。
また、海外から観光客が訪れるビジターセンターの自販機には、シンガポールに拠点を置く映画監督の作品DVDや、人気音楽ユニット、シンガーソングライターのCDも少しだけ置いてあるのだそうよ。
そして自販機の表面に描かれたポップなイラストも、シンガポール出身のアーティストやイラストレーターたちによるもの。とことん地元の作家にこだわっているところに、自国への深い愛情を感じずにはいられません。
【英ペンギンブックスによる自販機がインスピレーションの元】
また「Channel NewsAsia」が「BooksActually」のオーナー、ケニー・レック(Kenny Leck)さんに行ったインタビューによると、これらの自販機は1930年代のイギリスに登場した出版社「ペンギンブックス」が運営していた自販機にインスピレーションを受けている、とのこと。
【将来的には、現金以外でも支払えるように】
「自販機ならば、アクセスしやすくて、目につきやすい。また、街に本屋が少ないシンガポールの人々が読書に興味を抱いてくれるきっかけになればいい」という考えのもと、自販機設置に踏み切ったレックさん。
今は現金のみの取り扱いですが、近い将来はカードなど “キャッシュレス” での支払いも可能になるようよ。
【衝動買いしたくなっちゃいます♪】
日本にも本の自販機はたくさん存在しており、近年では、駅のキオスクで見かける文庫や新書の自販機がいい例。
けれどもシンガポールに登場した自販機は、活発に制作している国内の作家を知ってもらいたいという目的のもと、国内の人々だけでなく、海外の旅行者も多数訪れるスポットを選んで置かれているところがポイント。
また設置された自販機はどれもスタイリッシュで、しかも本の “見せ方” が上手。これなら本に興味がなくても、つい衝動買いしたくなってしまいそう。
「BooksActually」フェイスブックによれば、このニュースは世界のメディアが報じているようで、注目度は高いようです。これを機に、本を手に取る人が、少しでも増えるといいな!
参照元:Facebook、Channel NewsAsia
執筆=田端あんじ (c)Pouch
▼素敵な本に出会えそう♪