あるべきはずの目や鼻や口がなく、顔自体が体と化した横顔。しかも、その体は、醜くたるんでいます。
フランスのデジタル紙「INfluencia」が広告代理店「GloryParis」の協力のもと作成したのは、大変ショッキングな広告。インターネットの普及によって脳が退化してしまった様子を、ジャンクフードの食べ過ぎでメタボになってしまった人になぞらえて表現しているようです。
【栄養失調となった私たちの脳】
「脳を磨け」というタイトルがつけられたこちらの広告は、「私たちの脳は過食状態であり、同時に栄養失調にも陥っている」と警告しています。
スマホやタブレット端末で簡単にネットにアクセスできる時代。得られる情報は膨大ですが、その中には取るに足りないものや、信憑性がない記事もたくさん含まれていて、受け手に取捨選択が求められています。
【「情報の過食症」という表現にドキッ】
「知性がゆっくりと水の泡のように消えてゆくのにつれて、心の状態も悪化していっている。残念なことに『脳の栄養失調』は冗談ではない」と語るのは、「INfluencia」。
朝も夜も地下鉄に乗っている最中も、まだ足りないとばかりにネットで情報を得ようとするのは、脳の肥満につながるとも述べています。
【いろいろと考えさせられます】
「脳のためにより洗練された良質な “食物” を得よう」というメッセージにドキッとしてしまった方も、少なくないはず。私自身も身に覚えがありすぎて、冷や汗が出てきそうです。
大きなインパクトと皮肉を交えて “私たちが置かれている現状” を表現している広告は、シュルレアリスムを代表する画家ルネ・マグリットへのオマージュでもあるのだそう。一目見たら最後、なかなか頭から離れなくなるこの広告から、あなたは何を感じるでしょうか。
参照元:INfluencia、Facebook、GloryParis、Twitter @Glory_Paris、Ads of the World
執筆=田端あんじ (c)Pouch