「ガムの持ち込み禁止」という、世界でもなかなか珍しい法律が存在するシンガポール。「そんなバカな!」と思ってしまうけれど、ウソじゃありません。
なんでも、長らく権力の座にあったリー・クアン・ユー氏は吐かれたガムの害を問題視していたそうで、鉄道のドアセンサーにガムをくっつけるいたずらが横行したことをきっかけに全面禁止にしてしまったのだそう。それ以来、ガムをシンガポールに持ち込むと、高額の罰金が科せられるようになっています。
これからお伝えするのは、今思い出しても背筋がゾッとする、私がシンガポールにうっかりガムを持ち込んでしまったときのお話です。
【シンガポールは罰金大国】
今から約10年ほど前のこと。当時、私はシンガポールで働いていました。シンガポールはものすごくキレイなんだけど、暮らすとなると、ルールが多くてちょっぴり窮屈。
「ハトに餌をあげたら」罰金、「公共トイレの水を流さず立ち去ったら」罰金など、あれもダメ、これもダメ、というルールがたくさん存在するので、「罰金」と「キレイ」の両方の意味を持つ語「Fine」から「Fine City(ファイン・シティ/美しい&罰金の大国)」と呼ばれてるぐらい!
【バッグの奥底に入っていたガム】
シンガポールとうって変わって、ゆる〜い雰囲気の隣国マレーシア。当地で週末旅行を楽しみ、シンガポールに戻ってきたときのこと、税関で手荷物検査がありました。私のバッグが検査台を通ったそのとき、ブザーがビービーと音を立てたのです。
すると検査官が「バッグあけますよ〜」という前置きもせず、バッグのなかをものすごい勢いで物色しはじめました。これにはびっくり! そして「あなた、ガム持ってますね? 持ち込み禁止ですよ」と、バッグの奥底からガムを探し当てたのです。ひゃ〜! 入れてたこと、すっかり忘れてた。
【ガムはどうなったのか】
ガムの持ち込みは違法ってこと、本当は知ってた。でも、ものすごく高いという罰金をとられたら、どうやって暮らしていけばいいの……? そこで私は政治家のごとく「知りません」作戦を決行したのです。
「そうですか。私トラベラーなので、シンガポールにそんなルールが存在するなんて知りませんでした。すみません、失礼します」と告げて、ガムの入ったバッグを持って猛ダッシュ!! 検査官は……よし、追ってこない!! なんとか、その場は無事切り抜けることができました。捕まらなくてよかった〜!
【電子タバコや雑誌も要注意です】
ちなみにシンガポール国内へは、電子タバコ、特定の形のライター、性的表現の強い雑誌、アジアのナイトマーケットなどでよく見かける海賊版CDやDVDなどの持ち込みもNGなのです。シンガポールへ渡航予定のあるみなさん、気をつけてくださいね。
【おまけ:タバコの持ち込みで罰金になった人の話】
シンガポールにタバコを持ち込むときに、実際より少なく申告したことで多額の罰金を払うことになった知人もいます。その人の場合、1週間の出張中に個人で消費する分の持ち込みでしたが、税関で検査官に実際の本数を知られてしまい、およそ30万円の罰金を徴収されたそうです。シンガポールでは、たった1本であってもタバコは課税対象。ウソをつくと怖いことになるんですねぇ!!
シンガポールに限らず、海外旅行の際には持ち物にご注意くださいね!
参考リンク:Singapore Statutes Online、Singapore Customs、Business Insider、Japan Airlines
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