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矢沢あいさん休養から約9年…不朽の名作『天使なんかじゃない』の魅力を徹底分析してみました

2019年1月4日


漫画家の矢沢あいさんが大人気作『NANA -ナナ-』の休載を発表したのは、2009年6月のこと。あれから9年以上が経ちました。

矢沢さんの描く漫画が持つ魅力は数え切れなくて、「登場人物に感情移入せずにはいられない」「印象的なセリフが多い」「とにかくオシャレ」……といった具合にキリがありません。

ヒット作も数多く、冒頭で触れた『NANA -ナナ-』、『ご近所物語』、『Paradise Kiss』、『マリンブルーの風に吹かれて』、そして隠れた名作として名高い『下弦の月』と、何度でも読み返したくなる作品がそろっています。

【矢沢あい作品で『天使なんかじゃない』は外せない!】

その中でもわたしにとっていちばん思い出深いのが、1991年に少女漫画雑誌『りぼん』で連載が始まった“天ない”こと、『天使なんかじゃない』。言わずと知れた大ヒット作で、矢沢さんの名前が世に広まるきっかけになった作品ともいえましょう。

思春期ど真ん中に触れたこともあってか、わたしの心に大きな影響を与えた “天ない” が持つ魅力を、わたしなりに分析してみようと思います。

【「天ない」の魅力はこの7つ☆】

1. 登場人物がみんな魅力的
学園の人気者・冴島翠(さえじま みどり)と、強面で誰にも心を開けなかった須藤晃(すどう あきら)。対照的なメインキャラのふたりもさることながら、美人で頭もいいのに人付き合いにおいては不器用な麻宮裕子(まみや ゆうこ / 通称マミリン)を筆頭に、愛さずにはいられないキャラクターばかりです。

2. 心理描写が丁寧
女性側の視点はもちろん、男性心理の描き方も丁寧。たとえば、翠に恋する中学時代の同級生・中川ケンが失恋したときに

「(翠のために作った歌だから)歌えねぇよ」

とつぶやいたり。また彼女となかなか別れられずにいた滝川マンこと、瀧川秀一(たきがわ しゅういち)が

「別れ話切り出すのがこんなに難しいなんてな 好きだって言う方が何百倍も簡単」

とズルくも思えるセリフを口にしたりと、男性の繊細さと弱さが浮き彫りになる場面もありました。

3.好きになれないと思っていたキャラでも最終的には愛おしい存在になる
心理描写が丁寧だからこそ、どんなに憎たらしいキャラにでも感情移入できて、最終的にはそのキャラのことが愛おしくてたまらなくなるのが “天ない” 。その代表格が滝川マンの元カノ・超絶美少女・原田志乃(はらだ しの)なのではないでしょうか。典型的な “女性から嫌われるキャラ” として登場した志乃ですが、過去にいじめにあっていたり、翠と晃が別れたときに

「もっとがんばって下さい……じゃないとあたし……なんか……なんかあたしももう がんばるの疲れてきちゃう」

と口にしたりと、志乃ちゃんは志乃ちゃんで苦労してきたんだなぁと、しんみり。ホントはとってもいい子なんだということが伝わってきて、ヨシヨシせずにはいられなくなるんです。

3. 優柔不断なイケメンにヤキモキ
項目2でも登場した瀧川秀一は、生徒会で会計を務めるほか、美形で長身で爽やかで温厚で……といった具合にモテ要素しかないイケメン。でもとにかく優柔不断で、イライラさせられることもしばしば。しかしそのイライラこそがストーリーにおけるスパイスになっているし、最終的に

「なんかもう……コントロールがきかない 好きだ……」

とマミリンに告白するシーンが、ことさら胸に響きます。コントロールがきかないくらい好きって、ヤバくないですか!?!?!?(興奮)

4. これぞリア充!な学園生活
創立されたばかりの高校・私立聖学園が舞台。そして物語の中心となるのが生徒会メンバーということで、学園生活をメインにストーリーは進行していくのですが、みんなキラキラしていて仲が良くて、すっっっごく楽しそうなんですよ。「こんな学生生活送ってみたい!混ざりたい!」と誰もが憧れたはず。

5. 翠とマミリンの友情に涙
“エンジェル冴島” とまで呼ばれている人気者の翠と、クールで知的な美女・マミリンは、一見対照的。仲良くなりそうには見えなかったけれど、マミリンが恋愛のショックからトイレにこもってしまったときに翠が放った

「あんたがあたしを嫌いでも あたしは好きよマミリン!」

の一言で、一気に心の距離が縮まります。最終的には、ふたりは無二の親友に。

6. 名言が多い
5で紹介した翠のセリフ然り、 “天ない” は名言の宝庫。たとえばマミリンのセリフだけでも

「あたしは 冴島翠みたいになりたい」
「あんたみたいな友達は……もう出来ないかもしれない」
「うれしい時はちゃんと喜んで。悲しい時はちゃんと泣けるような、そんなあたり前のことがみんな意外と出来なかったりするのよ」

といった具合に、心に刺さるものばかり。不器用なマミリンが言うからこそ言葉に重みがあるとも感じられますが、そのほかの登場人物たちからもバンバン名言が飛び出してくるので、ぜひご一読を……!

【あなたの好きな矢沢あい作品はなに?】

さて、いかがでしたでしょうか。こうして振り返ってみると、思春期だった当時がよみがえるようで、ちょっぴり甘酸っぱい気持ちになります。

きっとみなさんの心の中にも、「わたしにとっての矢沢あいベスト作品」があることでしょう。しばらく読んでいないというのであれば、この機会に読み返してみると、また新たな発見があるかもしれませんよ♪

画像=Pouch編集部
執筆=田端あんじ (c)Pouch

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