2019年に公開されたディズニー&ピクサーによるショートムービー『宙を舞う(Float)』がYouTubeで無料公開されています。
物語に登場するのは、宙を舞うことができる幼い息子と、その父親。
「“普通の子”とは違う」がゆえに、息をひそめて隠れるようにして生きてきた親子が、たどり着いた先とは……!?
【ずっと隠れて生きてきた】
無邪気に宙を舞う息子を見て、気が気ではない父親。
周囲の人々の「好奇の目」から逃げるように、息子とふたり、家の中に引きこもる生活を続けていました。
ある日のこと、外へ遊びに行くことを決意した父親は、息子を連れだします。
息子の体が浮かないよう、リュックに石を詰め、ひもをつけるなどの対策を取ったものの、公園で遊ぶ子どもたちを見た息子は大はしゃぎ。
父親の目を盗んで逃げ出し、たくさんの人が見ている前で宙を舞ってしまうのです。
【「普通」ってなんなんだろう】
慌てた父親は息子を連れ帰ろうとしますが、息子は「まだ遊びたい!」と駄々をこね……
父親はついに「どうして普通にできないんだ!!!!!」と怒鳴りつけてしまいます。
しかし息子にとっての普通は「宙を舞う」こと。何が普通で、何が普通でないのか。そもそも普通とは何なのか……。
同作を観ると「普通」についていろいろと考えさせられます。
【問題は子どもではなく「社会」】
『宙を舞う』には様々なコメントが寄せられていて、
「『どうして普通にできないの』というセリフが強く響いた」
「問題なのは、子どもじゃなくて社会だ」
「7分の名作、泣かされた」
といった声が見られます。
ムービーは全編英語ですが、セリフはほぼなく、非常にわかりやすいです。
息子と父親がその後どのような行動を取ったのか。その結末は、あなたの目で確かめてみてください。
【ムービーの背景にあるもの】
『宙を舞う』の監督は、フィリピン系アメリカ人のボビー・ルビオ(Bobby Rubio)さん。
ボビーさんは息子・アレックス(Alex)くんが「自閉症スペクトラム」であることを公表しており、ムービーの最後で
「アレックスへ、いい父親にしてくれてありがとう。異なるとみなされる子どもを持つすべての家族に愛と理解を」
とメッセージを送っています。
なお、今回の無料公開の背景には「相次ぐアジア人差別に反対の意を表する」思いがあるようです。
YouTubeには韓国系アメリカ人のエドウィン・チャン(Edwin Chang)監督作『風に乗る』も無料公開されているので、あわせてご覧になってみてはいかがでしょうか。
参照元:YouTube
執筆:田端あんじ (c)Pouch