【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは『ゴーストブック おばけずかん』(2022年7月22日公開)。新垣結衣さん、神木隆之介さんの共演作で、児童書「おばけずかん」シリーズをベースにした作品です。小学生の子どもたちが異世界に紛れ込み、それに巻き込まれてしまうのが、子どもたちの先生を演じるガッキーです!
では物語からいってみましょう。
【物語】
学校中でウワサになっているのは、夜中に子どもたちの枕元に立ち「願いを叶えたいか?」と囁く、小さなおばけ。その存在を知った一樹(いつき / 城桧吏さん)と仲間たちは、どんな願いも叶えてくれるという「おばけずかん」を探しに古本屋へ向かいます。
風変わりな店主(神木隆之介さん)がいる古本屋で「おばけずかん」を手に入れた一樹たちでしたが、外に出るとそこはもう彼らの知る世界ではなくなっていました。
一樹たちは、あとを追ってきた代替教員の瑤子先生(ようこ / 新垣結衣さん)に協力してもらいながら「おばけずかん」通りに、おばけを図鑑に封印することになるのです。
【子どもたちが活躍する異世界ファンタジー】
結論から言いますと、可愛らしい映画でした! おばけとはいえ全然怖くなくて、どちらかといえば楽しいキャラが多かったです。異世界の描き方も、遊園地のカラクリ屋敷みたいだったり、見慣れている光景が歪んで見えたりという不思議な空間で、大人もワクワクできます。
そんな中、おばけたちと対峙して困難を次々にくぐり抜けていく一樹たち。途中で、同級生の女子・湊(吉村文香さん)とばったり会って、「願いを叶える」ため協力して前進していくわけです。
一樹たちはいったい何を願っているのか。これは後半まで明らかにされないんですが、物語が進むにつれて、彼らが絶対に失いたくないものの正体がわかります。それに気づいたとき、私は「もう可愛いなあ〜」とキュンと来ちゃいましたよ!
【ガッキー演じる遥子先生の変化】
新垣結衣さんが今作でもやっぱり可愛い。清らかで真っ直ぐなザ・ガッキーな魅力を見せてくれます。ちなみに本作の主題歌を担当するのは星野源さん! 夫が妻の主演映画を歌で応援しています。
そんなガッキーが演じる遥子先生は、正直、冴えない毎日を送っています。たいしてやる気もなく、ほかに仕事がないから仕方がなくやっている感じです。何をしたいのか、どういう人生を歩みたいのか、彼女自身迷っているんですね。
でもおばけ退治に巻き込まれて異世界で子どもたちと過ごすうちに、純粋で前向きな気持ちに触れたことで彼女自身に変化が訪れます。
大人の世界には「世の中はこんなもんだ」なんてモードが漂っていることがあり、そういう空気に触れると自分もションボリしてしまうもの。
でも、一樹たちはいつも全力で物事に取り組んでおり、絶対に諦めない。そんな子どもたちのストレートなやる気に触れて、遥子先生は変わっていくのです。
大人が子どもに影響を受けて変わるっていいなあと思いました。瑤子先生が異世界での経験を経て、どう変わっていくのかは映画でぜひ見届けていただきたい!
【万引き家族のあの子です!】
ちなみに一樹を演じるのは、『万引き家族』で印象深い演技を見せた城桧吏くん。2020年の映画『約束のネバーランド』のときは「まだ小さい少年」というイメージだったけど、本作では「立派な俳優さん」に成長中です!
というように、すみからすみまで見どころある本作。夏休みにお子さんや甥っ子姪っ子を誘っていくのにぴったりの映画ですよ!
執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:(C)2022「GHOSTBOOK おばけずかん」製作委員会
『ゴーストブック おばけずかん』(2022年7月22日公開)
監督・脚本・VFX・ストーリー原案・キャラクターデザイン:山崎 貴
出演:城桧吏 柴崎楓雅 サニーマックレンドン 吉村文香
釘宮理恵 杉田智和 下野紘 大塚明夫 田中泯
神木隆之介/新垣結衣