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ブラピの魅力を再発見! 伊坂幸太郎の原作のハリウッド映画『ブレット・トレイン』はヘンテコ🇯🇵ニッポン具合が楽しすぎ

2022年9月1日

【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、ハリウッド映画化作品『ブレット・トレイン』(2022年9月1日公開)です。原作は伊坂幸太郎さんの小説「マリアビートル」(角川文庫刊)、それがブラピ主演で映画化なんて、ちょっと信じられない気持ちです。

ひと足お先に試写で観たのですが、原作のいいとこどりをした映画に仕上がっていましたよ。では物語からいってみましょう!

【物語】

世界イチ運の悪い殺し屋のレディバグ(ブラット・ピットさん)は、「東京発、京都行きの超高速列車に乗り、ブリーフケースを盗み出したら次の品川駅で下車する」というミッションをマリア(サンドラ・ブロックさん)から受けます。

そのブリーフケースには、マフィアのボスの息子の身代金が入っており、持っているのは2人の殺し屋。

しかし、任務を遂行しようとしているレディバグは突如、殺し屋ウルフ(バッド・バニーさん)に狙われ、品川駅で降りられず……。加えて、謎の女子高生プリンス(ジョーイ・キングさん)や、息子をプリンスに殺されかけて復讐に燃える元殺し屋の木村(アンドリュー・小路さん)など、10人の殺し屋が乗り合わせていました

やがて彼らは超高速列車内で殺し合いを始めるのです!

【ヘンテコなニッポンが満載!】

まさかこういう映画に仕上がっていると思わなかった〜! というのが最初の感想。原作にもコミカルなテイストはありましたが、ここまでド派手に振り切っていなかったような……。映画では、この思い切りの良さが◎でした。

舞台は原作通り日本。ハリウッド映画だけど舞台をアメリカにしなかったのは、ハリウッド映画にありがちなデフォルメされたヘンテコなニッポンを生かしたかったからなのでしょうか

また、登場人物はどこかスッとボケているポンコツな殺し屋軍団。彼らが巻き起こす大騒動と近未来を思わせるヘンテコなニッポンの相性は抜群! 物語の世界観にバチッとハマっています。

【ブラピの魅力を再発見】

それにしても、ブラット・ピットさんは良かったですね! ついてない殺し屋の役なので、やることなすことが裏目に出たり、巻き込まれたり。ずっとてんやわんやな列車内で、ずっとアセアセしている彼、それがもうおかしい。

で、ついてないわりに間一髪で命拾いするところも良き!

彼が演じたレディバグについて、本作の脚色を担当したザック・オルケウィックさんは、

「レディバグは、自分は不運で呪われている……と、思っているが、実はそれが他の人の幸運のきっかけになっているんだ。また最悪な事態に遭遇するたびに、彼は臨機応変に素早く対応している。実は新幹線に乗っている誰よりも優秀なんだよ」(公式プレスより抜粋)

とコメント。これには完全に同意しちゃいます。

どちらかといえば、巻き込まれているので逃げ回っている印象が強いのですが、アクションシーンはキレッキレ。カッコつけていないのにかっこいい、そんなブラット・ピットさんの魅力を再発見しましたわ。

【原作に敬意を払った脚色の勝利】

本作をご覧になった伊坂幸太郎さんは、

「素晴らしい役者さんたちがこの作品にエネルギーと情熱を注いでくれていて感動しました。想像以上に僕の小説の内容が生かされていたこともうれしかったですし、何よりも、ひたすら楽しい映画になっていることに幸福を感じました」(公式プレスより抜粋)

とコメントしています。

たしかに原作のポイントはしっかり受け継いでいます。

小説に登場する「蜜柑」と「檸檬」という殺し屋コンビは、タンジェリンとレモン(アーロン・テイラー=ジョンソンさん&ブライアン・タイラー・ヘンリーさん)。また、檸檬の「きかんしゃトーマス」好きは原作通りです!

原作の悪魔のような少年・王子は、映画ではプリンスという名前の女子学生だけれど、キャラは原作に近い邪悪な女子。最初は「王子が女子になっちゃったか〜」と思ったのですが、なかなか手強いプリンスでしたよ。

ちなみに木村の父役で真田宏之さんが出演しており、後半のキーとなるキャラクターです。超高速列車内で、真田さんの強烈なアクションを見られるのが喜び

また有名スター俳優のカメオ出演もあるので見逃さないでほしい!

おもちゃ箱をひっくり返したようなハチャメチャな映画ですが、映像、美術、アクション、どれをとってもザ・ハリウッドな華やかさと力強さに満ち溢れたエンタテインメント映画『ブレット・トレイン』。

ぜひぜひ大スクリーンでお楽しみください!

執筆:斎藤 香(C)Pouch

『ブレット・トレイン』 2022年9月1日(木)より全国ロードショー
原題:BULLET TRAIN
原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫刊)
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ
出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、 バッド・バニー(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)、サンドラ・ブロック

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