【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、人気ドラマの劇場版!『七人の秘書 THE MOVIE』(2022年10月7日公開)。七人の秘書たちが、特技を活かして権力者の悪事を暴いていく痛快なエンタテインメント映画です。好評を博した連続ドラマのスピリットはそのままにスケールアップ! ゲストも豪華なんですよ〜。
では、物語から行ってみましょう。
【物語】
権力者の悪事を暴いてきた秘書たち(木村文乃さん、広瀬アリスさん、菜々緒さん、シム・ウンギョンさん、大島優子さん、室井滋さん)の元に、新たな依頼が舞い込みます。
ターゲットは、信州一帯を支配する「九十九ファミリー」。
次男・九十九二郎(濱田岳さん)の結婚披露宴に出席するため、秘書たちは元締めの萬(江口洋介さん)と共に信州へ向かいます。大物招待客の秘書としてやってきた彼女たちですが、照井七菜(広瀬アリスさん)だけは違いました。彼女はなんと二郎の結婚相手だったのです!
ところが披露宴当日、二郎が行方不明になってしまい……。
【秘書たちの活躍にワクワク!】
結論から申し上げますと、面白かったです! 秘書軍団はドラマ同様に本当にかっこよくて、見どころが多いです。また、とてもわかりやすいので、ドラマ未見でも問題はなさそう。
秘書軍団は特技があり、自分のスキルを駆使してターゲットのラスボスに近づいていくのです。
6人の秘書+元締めの萬さん(江口洋介さん)も入れて7人。それぞれの秘書に見せ場がありますが、本作ではリーダー的存在の望月千代(木村文乃さん)が、恋に落ちるというロマンチックな展開も! 秘書スキルが高く優等生な千代の変化にはドキドキしちゃいます。
また元刑事の秘書、長谷不二子(菜々緒さん)が期待通りのアクションを見せてくれて、かっこいい! ヤンキーOLを熱演した『地獄の花園』(2021年)のアクションを思い出しました。菜々緒さんのアクションは泥臭くなく、美しいんですよね〜。
そして秘書軍団の中ではいちばん頼りないけど、人が良くて誰にでも好かれる照井七菜(広瀬アリスさん)が本作では花嫁に。
しかし、冒頭から新郎の二郎が行方不明になるという不運に見舞われます。ドラマの七菜は、アクシデントにオロオロしっぱなしですが、本作では成長した姿を見せてくれるのです。やればできるじゃない! と思いましたね。
【豪華なゲスト、玉木宏が素敵すぎる!】
本作は、劇場版ならではの豪華なゲストも見もの。九十九ファミリーのドンを演じるのは笑福亭鶴瓶さん。笑顔で悪事を働く人って、いちばん怖いじゃないですか。この映画の鶴瓶さんがまさにそれ! 権力者の凄みもありました。
そして、玉木さん演じる緒方航一は本作の鍵を握る重要人物なので注目。千夜が恋に落ちる相手です。水にこだわってスープを作るラーメン職人の彼は愛する信州が九十九ファミリーに支配されているのが我慢できないのです。
失踪した二郎を探し、九十九ファミリーの悪事を暴こうと、七人の秘書に依頼をするのですが……と、この先はネタバレになるのでぜひ劇場で。
【このシリーズがスカッとする理由】
連続ドラマ、劇場版共に『七人の秘書』は最後、悪人を成敗することでスカッとさせてくれる正義の味方を描いた作品です。
パワハラ、セクハラ、モラハラなどのハラスメントやブラック企業や癒着など、このシリーズに登場する悪は現代社会で問題になっていることばかり。でもそれを声高に訴えたり、強いメッセージを持って真正面から描いたりしていません。
完全にエンターテインメントとして物語を作り、正義の味方が悪人を成敗するという勧善懲悪のドラマに仕上げています。だからいいんです!
「みんなもっと考えよう」と問題提起するのではなく、私たちがモヤモヤと抱いている行き場のない思いを七人の秘書たちがバシッとやっつけてくれるのですから。だから観終わったあと、スカッとして「よし、明日も頑張ろう」と思える、そんなパワーをくれるんです。そのスピリットは劇場版も一緒でした。
2022年も後半、夏の疲れが残っていたり、気候の変化が激しくて気分がイマイチだったりするときがあります。そんなときはぜひ『七人の秘書 THE MOVIE』を観てください。気持ちよくスカッとさせてくれますよ〜。
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:(C)2022「七人の秘書 THE MOVIE」製作委員会
『七人の秘書 THE MOVIE』
(2022年10月7日より全国ロードショー)
監督:田村直己
脚本:中園ミホ
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井 滋、江口洋介、玉木 宏、濱田 岳、吉瀬美智子、笑福亭鶴瓶