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菅田将暉が演じる久能整くんの言葉が心に残る映画『ミステリと言う勿れ』は傑作! 整くんの推理にカタルシスを感じます

2023年9月19日

【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

ピックアップするのは、実写ドラマ化した田村由美さんの同名コミックがついに映画になった『ミステリと言う勿れ』(2023年9月15日公開)。菅田将暉さんが演じる久能整くんがスクリーンデビューを果たします。

さて、映画版の『ミステリと言う勿れ』はいかがなものか! 劇場で鑑賞してきました。

【物語】

久能整(くのう・ととのう / 菅田将暉さん)は、美術展を見るために広島に来ていました。

大満足で美術館を出た彼に、「久能整くん、バイトしませんか?」と声をかけたのは、狩集汐路(かりあつまり・しおじ / 原菜乃華さん)。彼女は名家・狩集家の孫娘。莫大な遺産相続をめぐり、誰かの命が奪われるかもしれないから助けてほしいと言うのです。

整は「なんで僕が?」引き気味でしたが、汐路は整の友人・犬堂我路(いぬどう・ガロ / 永山瑛太さん)と知り合いで、彼が整を紹介したようです。

そして整はいつの間にか狩集家の遺産続々の謎に巻き込まれていき……?

【狩集家の “犬神家の一族” に負けない謎】

狩集家は広大な土地に4つの蔵を持っており、孫の4人・汐路、ゆら(柴咲コウさん)、理紀之助(りきのすけ/ 町田啓太さん)、波々壁新音(はばかべ・ねお / 萩原利久さん)の4人は各蔵をあてがわれます。

彼らはその蔵の中から「あるべきものを、あるべきところへ過不足なく」という祖父の遺言に従って、「あるべきもの」を探し始めますが、その過程で汐路の命が狙われるなど危険なことが起こり、その謎を整くんが解明していくのです。

ドラマが面白かったので、期待してハードル上げて観たのですが、やっぱり面白かったです。

本作は原作の中でも人気の高い “広島編”

名家の謎を紐解いていく時代を超えた物語なので映画にピッタリです。しかも独立したエピソードなので、『ミステリと言う勿れ』ビギナーでもすんなり物語に入っていけると思いますよ。

【謎解きミステリーとして正統派】

ミステリーなのでネタバレは厳禁なのでお伝えするのが難しいのですが、蔵の中で見つけたもの、狩集家のアルバム、事故死した汐路の父が大切にしていた人形……謎を解くヒントは、整くんも見ている私たちも同じです。

ただ、見ているものは同じでも視点が違うのが整くん。私たちが見逃してい小さな “何か” を見逃さず、解決へ導きます。

推理物としてフェアだと思いますし、だからこそ最後に真犯人と謎が解明されたとき「そうだったのか!」とカタルシスを感じることができるのです!

【真理を突く整くんの名言】

整くんの人気は推理力だけではありません。彼の真理を突いた言葉の数々は人の心をとらえて離さない。実は推理力よりも、彼の言葉の数々こそが彼を輝かせています。

本作でも、

「子供って乾く前のセメントみたいなんです」(だから傷つけてしまうとその傷は一生刻まれたままになる)
「『女の幸せ』とかにもだまされちゃダメです」(幸せを決めるのは自分自身。家庭に入るのが女の幸せなんて言い出したのは、多分おじさんだと思うから)

などと、思わず「そうそう!」と頷くことばかり。生きていく上で大切な気づきを与えてくれるのも整くんの魅力で、本作でもその力を十分に発揮しています。

ちなみに、またドラマや映画で『ミステリと言う勿れ』に再会できそうな予感が……。いや、続いてほしいと願わずにいられない作品でしたよ。

ぜひ久能整くんに会いに劇場へ行ってくださいね!

執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

ミステリと言う勿れ
(2023年9月15日より全国ロードショー)
原作:田村由美「ミステリと言う勿れ」(小学館「月刊フラワーズ」連載中)
監督:松山博昭
脚本:相沢友子
出演:菅田将暉
松下洸平  町田啓太  原菜乃華  萩原利久
鈴木保奈美  滝藤賢一  でんでん  野間口徹
松坂慶子  松嶋菜々子
伊藤沙莉  尾上松也 ・ 筒井道隆永山瑛太
角野卓造  段田安則  柴咲コウ

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